カンヒザクラ(寒緋桜)

Taiwan cherry (Cerasus campanulata)

カンヒザクラ(Cerasus campanulata) カンヒザクラ(Cerasus campanulata)

沖縄や台湾から持ち込まれ、日系人コミュニティが中心となって育てられているハワイのカンヒザクラ。オアフ島のワヒアワとハワイ島のワイメアが特に有名。1~2月の花の季節になると、桜とともに「hanami(花見)」という日本特有の文化も「cherry blossom viewing」と英訳されてメディアで紹介されることも多い。

日本語名 カンヒザクラ(寒緋桜)、サツマザクラ、ヒカンザクラ
ハワイ語名
英語名 Taiwan cherry、Formosan cherry、bellflower cherry
学名 Cerasus campanulata
(旧:Prunus campanulata
分類 バラ科(Rosaceae)サクラ属(Cerasus)
その他 外来種(alien)

分布

A

原産地は中国、台湾、ベトナム。観賞樹として民家や公園などに広く植えられている。原産地以外ではオーストラリア、ニュージーランド、日本、インド、イギリス、アメリカ本土、ハワイに移入されている。ニュージーランド北部の森林部では、下層植生の在来植物を脅かす侵略的外来種となっているそうである。ハワイでも一部帰化していると思われるが、詳しくは不明。

特徴

高さ5~7mの落葉小高木。葉は単葉、互生で、長楕円形あるいは楕円形。濃いピンク色の花は直径約2.5cmで、釣り鐘のように下向きに咲く。桜の仲間としては春のもっとも早い時期に花期を迎える種のひとつで、ハワイでは1月~2月に花をつける。花は萼筒ごと落ちるため、ソメイヨシノのように花弁が舞い散ることはない【写真1】。花粉は虫によって媒介される。日当たりの良い場所と、肥沃で水はけの良い土壌を好む。

地面に落ちたカンヒザクラの花(ワヒアワ)
【写真1】地面に落ちたカンヒザクラの花(ワヒアワ)

気温がある程度まで低くなることがたくさんの花をつける条件のひとつとされる。そのためハワイではオアフ島中央部に位置するワヒアワ(標高約290m)や、ハワイ島北部の町ワイメア(標高約810m)など、高地の冷涼な気候の場所が開花に適しているそうだ。

ワヒアワの桜

ワヒアワでは、約500本のカンヒザクラが植えられていて、ハワイ州内では最大の桜の名所となっている。そのうちの多くは、沖縄から持ち込まれ1950年台半ばワヒアワに植えられた1本の木がルーツになっているそうである。また1985年には、ハワイの日本人移民100年を記念して常陸宮正仁親王によって木が贈られ、レイレフア高校に植えられた。

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ワイメアの桜

ワイメアでは、1912年に日本語新聞『ハワイ報知』を創設したフレッド・金三郎・マキノ氏(1877–1953)の追悼記念として、1953年に最初の桜が3本植えられた。そのうちの1本から取られた20本の苗木がワイメア・ライオンズ・クラブに寄付され、1972年に町のチャーチ・ロウ・パークに植えられた。木はその後も植えられ続け、現在ではワヒアワとともに桜の名所になっている。

1993年からは『Waimea Cherry Blossom Heritage Festival』という桜祭りが2月の第一週末に開かれており、毎年多くの人々が桜を楽しんでいる。祭りでは餅つき、折り紙、盆栽、茶道などの日本文化も紹介される。

カンヒザクラとメジロ(ワヒアワ)
【写真2】カンヒザクラとメジロ(ワヒアワ)

上記のようにワヒアワとワイメアがハワイの桜の名所として特に有名だが、同じく標高が高く冷涼なマウイ島のクラやカウアイ島のコーケエにも植えられている。コーケエでは、花が咲くと蜜を目当てにメジロがたくさんやってくるほか、たまにアパパネカウアイ・アマキヒなどのハワイミツスイ類の姿も見られる。【写真2】

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