ʻIeʻie (Freycinetia arborea)
映画『ターザン』でもおなじみのように、木本性のつる植物は熱帯雨林を代表する植物のひとつである。しかし、ハワイの森にはどういうわけかつる植物自体があまり多くない。そのなかでイエイエは、在来植物としては唯一といえる木本性つる植物である。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | ʻieʻie、ʻie |
英語名 | — |
学名 | Freycinetia arborea |
分類 | タコノキ科 (Pandanaceae)ツルアダン属(Freycinetia) |
その他 | ハワイ在来種(indigenous) |
分布
I
ハワイ在来種。主要6島すべてに分布する。標高300~1,200mの湿潤な森に生育する。野ざらしの尾根や山の斜面などに多い。ハワイ以外にも、ニューカレドニア、クック諸島、マルキーズ諸島、オーストラル諸島、ソシエテ諸島などの南太平洋の島々に広く分布する。
特徴
つる性で、コアやオーヒア・レフアなどの樹木の幹や岩に巻き付いて登るように生長するが、周りに木や岩がない場合は、地面を這うように伸びる。茎は直径最大2.5cm、葉が生えていた跡が茎の表面に輪になって残る。茎は数10cmごとに枝分かれし、場所によっては人が踏み入れないほどの厚い茂みを作る。葉は長さ40~80cmで、剣のように尖っている。
花は茎の先端につける【写真1】。トウモロコシを彷彿させる2~4本の円柱形の穂状花序が、3層の苞に包まれている。もっとも外側の苞は緑色で、基部はオレンジ色。そのひとつ内側の苞はオレンジ色がかった濃いサーモンピンク。もっとも内側の苞はピンク色。穂状花序は長さ10cm。花をつけている姿はとても美しく、森の中で大変目立つが、多くは野ネズミによって食べられてしまう。受粉した花はやがてオレンジ色の果実になる。種子は細長く、長さは最大1.5mm、幅は0.5mm。
ツルアダン属
イエイエが属するツルアダン属(Freycinetia)は、約180種からなり、東南アジア、マレーシア、太平洋の島々、オーストラリア、ニュージーランドに広く分布する。属名Freycinetiaは、1817年から3年間の航海でハワイを含む太平洋の島々やオーストラリアを探検したフランスの海洋探検家、ルイ・ド・フレシネ(Louis de Freycinet, 1779–1841)にちなんで付けられた名前である。
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ハラ・ペペとの違い
ハラ・ペペ(リュウゼツラン科)に似ているが、幹を持ち自立するハラ・ペペと違い、イエイエは自力では立つことができない点が大きく異なる。また、ハラ・ペペの葉には棘がないが、イエイエの葉には主脈の上と縁にノコギリ状の小さな棘が並んでいる。
花粉媒介者
本種の花粉は、元来はハワイ固有の蛾によって運ばれ受粉していたが、現在では外来種のメジロが花粉媒介の役割を担っているという。
利用
昔のハワイでは、イエイエの根は、縄、魚を捕るための罠、かご、戦闘用ヘルメットなどの材料として使われた。イエイエの根をイム(imu)と呼ばれる土中に作られたオーブンで蒸して裂いたものを編んで、様々なものが作られた。
半神ラウカイエイエ
ハワイの伝説では、ラウカイエイエ(Laukaieie)という美しい女性が姿を変えてイエイエになったと云われている。ラウカイエイエは、直訳すると「イエイエの葉」という意味である。昔のハワイでは、半神ラウカイエイエの象徴である花をつけたイエイエの枝が、フラの祭壇に供えられていたという。
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