アヴァ(カヴァ)

ʻAwa (Piper methysticum)

アヴァ(カヴァ、Piper methysticum) アヴァ(カヴァ、Piper methysticum) アヴァ(カヴァ、Piper methysticum) アヴァ(カヴァ、Piper methysticum)

古代ポリネシア人によって飲み物や薬の材料として持ち込まれた有用植物のひとつ。カロ畑の周りや渓流沿いなどで栽培された。ハワイ語ではアヴァ(ʻawa)というが、太平洋の広い地域で一般的にカヴァ(kava)、またはヤンゴナ(yangona)と呼ばれる。アヴァが属するコショウ属の植物は世界の熱帯地方に2,000種以上あると言われている。属名Piperは、コショウのギリシア語peperiに由来する。

日本語名
ハワイ語名 ʻawa、pūʻawa
英語名
学名 Piper methysticum
分類 コショウ科(Piperaceae)コショウ属(Piper)
その他 ポリネシアン移入種(Polynesian introduction)

分布

P

原産地ははっきりとわかっていないが、東マレーシアまたはニューヘブリディーズ諸島の在来種である可能性があるそうだ。古代の海洋航海民によって広められ、太平洋の多くの地域で栽培され、一部は帰化植物になっている。ハワイの主要6島では、ラーナイ島以外の標高50~500mの陰の多い湿った場所に生育する。

特徴

高さ1.5~3mの低木。葉は互生でハート型。葉の長さは13~30cm、幅は10~23cm。花は白色の穂状で、長さ9~13cm。雌雄異株だが、不思議なことにハワイではごく一部の例外を除いて雄株しか存在しない。したがってハワイでは果実はできず、人の手によって植えられること以外では繁殖できない。

利用

古来より、アヴァの生もしくは乾燥させた根や茎の下部を使って特別な飲み物が作られる。この飲み物も植物名と同様に「アヴァ」と呼ばれる(以降、このページでは飲み物のことを指す場合は「アヴァ」と鉤括弧に入れて表記する)。アヴァを噛んで柔らかくしたものを、水もしくはココナッツミルクと混ぜて漉したこの飲み物は、昔のハワイでは主に上流階級の人々の間で嗜まれたが、平民に禁止されていたわけではないそうだ。

「アヴァ」にはリラックス効果があり、フィジー共和国では国民的飲み物として、茶やコーヒーのように日常生活のなかで飲まれている。ただし、継続して大量に飲んだ場合は視覚や筋肉運動が妨げられ、皮膚に異常が現れる場合もあるという。「アヴァ」は、嗜好品として人々の日々の暮らしの中で飲まれ、また宗教的な場でも重要な役割を持っていたが、19世紀に白人の宣教師たちがハワイに来て以降、飲まれる機会は減少した。しかし今でも根強い人気があり、ハワイで「アヴァ」を出すカフェやバーは少なくない。また、インスタントアヴァとでもいうべき粉状のアヴァが商品化されていて、手軽に飲むこともできる。

「アヴァ」にはいくつかの種類があり、緑、茶、紫などの茎の色や、形、葉の大きさで分けられる。一般的に「アヴァ」には独特の苦みがあり、ほとんどの人がこの苦みに慣れていないため、「泥水を飲んでいるようで不味い」といった感想を持つ人が多い。ハワイ語のʻawaには苦いという意味もある。飲み慣れたファンのなかには「甘みのないトルココーヒー」などに例える人もいる。

作成日: