Pilo (Coprosma spp.)
ピロが属するタマツヅリ属には約90種あり、それらの多くはニュージーランドが原産である。その他の原産地はオーストラリア(8種)、ニューギニア(11種)、ハワイ(13種)など。ハワイの種は、総称してピロ(pilo)と呼ばれる。ただし一部の種はクーカエネーネー(kūkaenēnē、C. ernodeoides、後述)、コーイー(kōī、C. kauensis)、オーレナ(ʻōlena、C. waimeae)などの別名がある。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | pilo、hupilo |
英語名 | — |
学名 |
Coprosma cymosa Coprosma elliptica Coprosma ernodeoides (kūkaenēnē) Coprosma foliosa Coprosma kauensis (kōī) Coprosma longifolia Coprosma menziesii Coprosma montana Coprosma ochracea Coprosma pubens Coprosma rhynchocarpa Coprosma ternata Coprosma waimeae (ʻōlena) |
分類 | アカネ科 (Rubiaceae) タマツヅリ属(Coprosma) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) |
分布
E
13種ともハワイ固有種。主要6島の標高300m以上の森に自生するが、種によって分布する島は異なる。例えばC. montanaはマウイ島とハワイ島のみに分布し、C. longifoliaはオアフ島のみに分布する。
特徴
例外的な種もあるが、一般的には枝が多い低木で、葉は対生、果実は直径約10mmの赤色、オレンジ色、もしくは黒色。葉の縁はまっすぐでギザギザの切れ込みはない。同じアカネ科のコーピコが枝の先端に房状の実をつけるのに対して、ピロは枝に沿って葉の基部に実をつける。個体ごとに雌株と雌株があり(雌雄異株、dioecious)、雌株には雄花が、雌株には雌花が咲く。果実は、オーマオ(ハワイツグミ) の好物である。山中の森に生育するためあまり目にすることはないが、マウイ島のハレアカラー国立公園(Haleakalā National Park)では比較的簡単に見つけることができる。
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クーカエネーネー
ハワイ島とマウイ島のみに分布するC. ernodeoidesという種は、クーカエネーネー(kūkaenēnē)と呼ばれる【写真1】。高さ2~3mの低木で、這うように伸びる。長さ6~12mmの小さな葉が密集して生える。果実は黒色で光沢があり、直径8~20mm。標高1,220~2,600mの亜高山帯の林に生育する。
クーカエネーネーという名前は、直訳すると「ネーネー(ハワイガン)のふん」となる。また、ネーネーは本種の実を好んで食べるため、アイアカネーネー(ʻaiakanēnē、ネーネーの食べ物)という別名もある。さらに、レポネーネー(leponēnē)、プーネーネー(pūnēnē)といった名前もあり、どれもネーネーに関連した名前である。ネーネーは、本種の種子を運んで分散してくれるので、持ちつ持たれつの共存関係である【写真2】。
昔のハワイでは、クーカエネーネーの樹皮の内側部分からは黄色い染料が、また果実からは紫や黒の染料が作られた。果実はレイに使用されることもあった。
その他
Coprosmaという属名は、ギリシア語の「kopros(便)」と「osme(臭い)」に由来し、タマツヅリ属の植物の葉や実をつぶしたときに出る臭いからつけられた名前である。おもしろいことに、ピロ(pilo)というハワイ語にも「沼のような悪臭」という意味がある。ただし、少なくとも筆者はピロから糞や泥のような匂いを感じたことはない。
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