オーマオ(ハワイツグミ)

ʻŌmaʻo (Myadestes obscurus)

オーマオ(ハワイツグミ、Myadestes obscurus) オーマオ(ハワイツグミ、Myadestes obscurus)

ハワイ島にすむツグミ。英語ではHawaiian ThrushまたはHawaiian Solitaireと呼ばれる。

日本語名 ハワイツグミ
ハワイ語名 ʻŌmaʻo
英語名 Hawaiian Thrush
学名 Myadestes obscurus
分類 ツグミ科(Turdidae)
その他 ハワイ島固有種(endemic)

分布

E

ハワイ島固有種。多くはマウナ・ケア(Mauna Kea)とマウナ・ロア(Mauna Loa)の湿潤な在来植物の森に生息する。標高900m以上の森に多いが、標高約550mの場所でも目撃されている。マウナ・ロアでは、雨が少ない高山地帯にも少数生息している。コナ(Kona)の山々には現在はもう生息していない。

形態

全長18cm。オスとメスは同じ色。上面は灰色がかった濃い茶色、下面と額は明るい灰色。くちばしはまっすぐで短い黒色。足は茶色。尾は短い。未成鳥は下面に濃いスカラップ模様があり、羽と胸が淡黄色。ハワイ島の野鳥でオーマオに似ている鳥はいないので、識別は容易。

鳴き声

さえずりは音楽的で美しい。数秒にわたって長くさえずることもある。さえずりは一年中聞かれ、姿がみえる止まり木からさえずることが多い。ハワイ在来の野鳥のなかでは、もっとも鳴き声が美しい鳥だと言われることが多い。

地鳴きは大きなにごった声の「ガー」や、笛のような「ピー」などがある。「ピー」の地鳴きは、ハワイのバードウォッチャーたちの間では「警察官の笛の音」に例えられる。

さえずり(2014年10月)

地鳴き 1(2014年4月)

地鳴き 2(2014年10月)

森のなかでは、夜明けに最初に聞こえてくる音のひとつがオーマオの鳴き声である。他の野鳥たちとは明らかに異なる鳴き声なので、ハワイ火山国立公園(Hawaiʻi Volcanoes National Park)などで簡単に鳴き声を聞きわけることはできる。ただし、体が地味な色のため、その姿を見ることは意外に難しい。

生態

オーマオ(ハワイツグミ、Myadestes obscurus)
『さえずるオーマオ』絵:崎津鮠太郎

普段は高木の樹冠など、森の上層にいるが、たびたび低い枝や地面にも降りてきて果実や虫を食べる。果実は、ピロやオーラパなどを好む。

森のなかでは、コアオーヒア・レフアなどの高木の枝や枯れ木に一羽で長い時間動かずにとまっている姿をよく見ることができる。枝にとまっているときには、翼をこまかく震わせるという変わった習性がある。

草、シダ、コケ、細根、葉などからなる巣を、コア、オーヒア・レフア、木生シダなどの空洞部分に作る。2個の卵を産む。

ハワイのツグミ

現在ハワイに生息するツグミのなかまは、本種と、カウアイ島のプアイオヒのみである。しかしかつては、全ての主要な島々に固有のツグミが生息していた。カウアイ島には、プアイオヒの他にもう一種生息していた。これらの鳥たちは、残念ながらすべて絶滅したと考えられている。

アーマウイ(ʻĀmaui)
学名:Myadestes woahensis
英語名:Oʻahu Thrush

オアフ島固有種。上面は緑色がかった茶色、下面は灰色。アーマウイというハワイ語名は、半神マウイと関連があるらしい。1820年代以来目撃されていない。

オロマオ(Olomaʻo)
学名:Myadestes lanaiensis
英語名:Large Kauaʻi Thrush

モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島に生息していた。全長18cm。外形はオーマオに似ているが、下面がオーマオよりも明るく、腹が淡黄色がかっている。鳴き声や生態はあまり知られていないが、オーマオにそっくりだったと言われている。1988年5月にモロカイ島で目撃されたのが最後。

カーマオ(Kāmaʻo)
学名:Myadestes myadestinus
英語名:Molokaʻi Thrush、Lānaʻi Thrush

カウアイ島固有種。全長20cm。ハワイ原産のツグミ類ではもっとも大型。上面は茶色、下面は明るい灰色。喉は灰色がかった茶色。嘴は濃い色で、横幅がある。足は黒色。生態はオーマオに似ている。さえずりはとてもメロディアスで美しい声だったという。1992年にカウアイ島を直撃したハリケーン・イニキ(ʻIniki)以後、目撃されていない。

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