カノコバト

Spotted Dove (Streptopelia chinensis)

カノコバト(Streptopelia chinensis)

ハワイで一般的にみられる、アジア原産のハト。ハワイには19世紀の中頃に移入された。中国人が鳥かごで飼っていたものが放されて野生化したといわれている。一部は食用として飼育されていたらしい。1879年には、オアフ島ですでに普通に見られるほど繁殖していたという記録がある。

日本語名 カノコバト(鹿子鳩)、シンジュバト
ハワイ語名 ekaho、manu kū
英語名 Spotted Dove、Chinese Dove、Lace-necked Dove
学名 Streptopelia chinensis
分類 ハト科(Columbidae)
その他 外来種(alien)

ハワイで一般的に見られるハトのひとつ。

分布

A

原産地は中国、インド、インドネシア、フィリピンなど。ハワイでは外来種として主要6島すべてに生息する。海岸から標高約2,400mまで広くみられ、在来植物の森にも侵出している。カウアイ島のアラカイ自然保護区(Alakaʻi Wilderness Preserve)でみられる唯一のハト類である。1920年代にはフィジーにも移入され、定着している。他にカリフォルニア州、モーリシャス共和国、オーストラリアなどにも移入された。

形態

全長31cm。オスとメスは同じ色。同じくハワイに多く生息するチョウショウバト(全長20cm)よりずっと大きく、カワラバト(全長32cm)よりは若干小さい。体は灰色もしくは灰色がかった茶色。頭から胸は赤みを帯びる。首の後ろ部分が黒く、白い斑点がある。目の虹彩は赤色。足はピンク色。尾羽は幅があり、先が丸い。外側の尾羽は黒色で先が白色。若い鳥には斑点がなく、ナゲキバトに似ている。

鳴き声

「クククー」と繰り返して鳴く。チョウショウバトの鳴き声よりピッチが低く、音量が大きい。

生態

主に地上で草の種子を食べる。町中では人をあまり恐れないが、人の足元まで近づいても逃げないことがあるチョウショウバトと比べると、警戒心はやや強い。小枝を使って木や茂みに巣を作る。一年を通して繁殖する。1回の営巣につき1~2個の光沢がある白い卵を産む。オスは地面で尾を広げて何度も深くお辞儀をするように求愛する。また、木の上から高く飛び立ってアーチを描いたあとに降下し翼と尾を広げて他の木に着地する求愛飛翔もみられる。

名前の由来

日本語名にあるカノコ(鹿の子)は、首の部分の白斑が由来。白斑を真珠に見立ててシンジュバトとも呼ばれる。英語名のSpotted Doveは、「斑点があるハト」という意味。森にも生息するので、ハワイではMountain Dove(山のハト)と呼ばれることもある。他にChinese Dove(中国ハト)、Lace-necked Dove(首がレース模様のハト)などの英語名がある。また、鳴き声を模してエカホ(ekaho)と呼ばれることもある。さらに、本種やカワラバトを総称してマヌ・クー(manu kū)とも呼ばれる。マヌは(manu)、鳥という意味のハワイ語で、クー(kū)は、「ハトがクークーと鳴く声」という意味の英語cooのこと。種小名chinensisは、1786年に本種の学名がつけられたときの個体標本が中国から集められたことに由来する。

その他

ハワイ諸島における鳥マラリアの最初の感染源である可能性があるという。本種は、現在でもこの病気の主要なレゼルボア(病原巣)のひとつである。

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