Northern Cardinal (Cardinalis cardinalis)
北アメリカ原産の鳴禽。本土の多くの人々にとっては慣れ親しんだ鳥である。
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日本語名 | ショウジョウコウカンチョウ(猩々紅冠鳥) |
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ハワイ語名 | ʻUlaʻula |
英語名 | Northern Cardinal |
学名 | Cardinalis cardinalis |
分類 | ショウジョウコウカンチョウ科(Cardinalidae) |
その他 | 外来種(alien) |
分布
A
アメリカ合衆国本土とメキシコに広く生息する。ハワイでは外来種として主要6島すべてでみられる。標高2,300m以下の乾燥した雑木林などに生息する。在来植物の森にもいるが数は少ない。町中でもみられる。タヒチにも移入されたことがあるが定着しなかったそうだ。バミューダ諸島では移入後に定着し、公園や庭などでみられる。
形態
全長23cm。オスとメスは体の色が異なる【写真1】。オスは体が朱色で、くちばしの周りが黒い。メスは体が茶色で羽、尾、冠羽は赤みを帯びる。オスもメスもとがった冠羽があり、くちばしは赤い。ハワイの森にすむ鳥のなかでは大きい方なので、特にオスは、森の中でよく目立つ。未成鳥はメスに似ているが、くちばしが黒い。
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鳴き声
オスは澄んだ声で大きくさえずる。さえずりは「チョンチョンチョンチョンチョンチョン」、「ピュイ、ピュイ、ピュイ、ピュイ、ピュウピュウピュウピュウピュウ」、「ピューピー、ピューピー、ピューピー、チチチチチチチ、キュウキュウキュウ」など、バラエティに富む。地鳴きは、音程の高い「チッ、チッ」。
「チョンチョンチョンチョンチョンチョン」(2016年1月、ホノルル市内)
生態
虫、種子、果実などを食べる。ブンチョウやチョウショウバトなどと一緒に住宅地の餌台にも集まる。警戒心はあまり強くなく好奇心旺盛で、地面から近い場所で観察することができる。朝や夕方に、電線などに止まってさえずるオスの姿が、ホノルル市内の住宅街でも見られる。筆者が住むカイムキーでは、春先から夏にかけての特に明け方に盛んにさえずり、その大きな歌声に目を覚まさせられることも多い。潅木に椀型の巣を作り、2〜4個の卵を産む。
ハワイへの移入
1929年に、ホノルルで飼われていた本種のつがいの一羽が、鳥かごから逃げたのが移入の始まりだと言われている。続いて、残りの一羽も放されたという。そのつがいが営巣したのかどうかはわからない。さらに1929年から1931年にかけて、サンフランシスコから来た300~350羽の本種がカウアイ島、オアフ島、ハワイ島に放された。それらが野生化して、1940~1960年代に拡散していった。
名前の由来
英語では一般的にカージナル(Cardinal)と呼ばれる。Cardinalは、カトリック教会の枢機卿(すうききょう)のこと。本種のオスの体が、枢機卿の礼服の色と同じ朱色であることからつけられた名前である。ちなみに、枢機卿のCardinalの語源は、ちょうつがいを意味するラテン語の「Cardo(カルド)」からきている。建築で扉など開閉物の要となるちょうつがいのように、枢機卿が教会にとって要となる存在であることに由来する。
ウラウラ(ʻUlaʻula)というハワイ語名もある。ウラ(ʻula)は赤という意味。こちらもオスの体の色からつけられた名前である。
その他
アメリカ本土の多くの人々に親しまれている鳥であることは、本種がイリノイ州、インディアナ州、ウェストバージニア州、オハイオ州、ケンタッキー州、ノースカロライナ州、バージニア州の州鳥であることでもわかる。そのため、ハワイに日本のメジロやウグイスがいることに日本人が驚くのと同じように、ショウジョウコウカンチョウがハワイにも生息していることに驚くアメリカ本土からの観光客は多い。
MLBのセントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals、本拠地:ミズーリ州セントルイス)や、NFLのアリゾナ・カージナルス(Arizona Cardinals、本拠地:アリゾナ州グレンデール)のチーム名にある「カージナルス」は、本種のことである。両チームのロゴマークやマスコットにも、本種が意匠されている。
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