Kauaʻi ʻAmakihi (Chlorodrepanis stejnegeri)
カウアイ島に生息するアマキヒ。アラウィー・キヒ(alawī kihi)という、他のアマキヒにはない別名がある。以前は、カウアイ島以外の主要6島に生息するアマキヒはすべてCommon ʻAmakihiと呼ばれていて、カウアイ島の個体群はその亜種に分類されていた。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | Kauaʻi ʻAmakihi、alawī kihi |
英語名 | — |
学名 | Chlorodrepanis stejnegeri |
分類 | アトリ科(Fringillidae) |
その他 | カウアイ島固有種(endemic) |
分布
E
カウアイ島固有種。コアとオーヒア・レフアの森に最も多く生息する。かつては島じゅうの森に生息していたそうだが、1970年代以降は、コーケエ(Kōkeʻe)/アラカイ(Alakaʻi)エリアとマカレハ(Makaleha)の山々に限られている。
形態
全長11cm。アマキヒのなかではもっとも大きく、くちばしも顕著に太くて長い。オスとメスは体の色が異なる。オスは、上面がオリーブ色、下面がにぶい黄緑色。メスは、体の色が全体的にオスよりも地味なトーンである。
鳴き声
さえずりは2音からなるビブラートで、アニアニアウのさえずりに似ている。ピッチやスピードが異なる数種類のバリエーションがある。そのうちのひとつは、アキキキ(カウアイ・クリーパー)のさえずりに非常に似ている。
地鳴きは、ややかすれた声の「チィー」や「キャッ」など。ネコの鳴き声を思わせる「ミャー」は、他のアマキヒとほぼ同じ。エレパイオ、コーレア(ムナグロ)、メキシコマシコなどの鳴き真似を交えて、ささやくように、ときには数分間にわたって鳴き続けることもある。
生態
主な餌は、オーヒア・レフア、カナワオ、オヘ・ナウパカ、コリイなどの花の蜜と、樹皮の内側の虫などである【写真1】。オヘ・ナウパカやコリイには、カーブした管状の花にくちばしを入れて蜜を吸い、花粉の媒介役を担う。
虫を探すときは、木の枝を這うように素早く移動し、枝にぶら下がって下側まで丹念に探す。ジャワプラムの実や、リリコイ、バナナポカ、カーヒリジンジャーの花などの外来植物でも食餌する。飼育下で9歳まで生きた記録がある。繁殖期は3月~7月。
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かつて野鳥の楽園だった島
ハワイ諸島は、地球上のあらゆる大陸から孤立している絶海の孤島だが、カウアイ島はそのハワイの主要な島々のなかでも最も孤立している。まさに孤島の中の孤島である。島が誕生してからの歴史も、最も古い。そのため、もともとユニークなハワイの動植物相のなかでも、カウアイ島はさらに独特であると言われる。固有種のなかでも、特にカウアイ島のみに分布するものが非常に多い。
そんなカウアイ島だから、森の野鳥の種類も豊富で、他の島ではすでに絶滅してしまっている希少なグループの多くが、1970年代までは絶滅を免れていた。
しかし、3,000m以上の山々をもつマウイ島やハワイ島と違って、カウアイ島は、最高峰のワイアレアレ山(Mount Waiʻaleʻale)でも1,548mしかない。このことは、カウアイ島には森の野鳥たちにとって致命的な鳥マラリアを媒介する蚊が生息できない冷涼な高地が、マウイ島やハワイ島と比べて少ないことを意味する。そして温暖化の影響で、さらに標高が高い山地まで蚊が生息するようになってからは、カウアイ島の森の野鳥たちは激減してしまった。ハワイの森を代表する鳥のひとつであるイイヴィ(ベニハワイミツスイ)も、2005年あたりからほとんど見られなくなった。
コーケエ州立公園(Kōkeʻe State Park)で簡単に見つけることができたアマキヒも例外ではなく、最近は目にする機会が本当に少なくなった。以前は野鳥たちの声で満ち満ちていた豊かなカウアイ島の森が、今では恐ろしいほどの静寂に包まれていて、訪れるたびに筆者は胸が痛くなる。
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