パッションフルーツ(リリコイ)

Passion fruit (Passiflora edulis)

パッションフルーツ(リリコイ、Passiflora edulis)

南米原産の大型のつる植物。ハワイで最初に植えられたのがマウイ島のリリコイ(Lilikoʻi)という場所だったことから、リリコイという呼び名が広まったと言われている。花言葉は「神聖な愛」、「宗教」、「信仰」。

日本語名 クダモノトケイ、クダモノトケイソウ、パッションフルーツ
ハワイ語名 lilikoʻi
英語名 passion fruit
学名 Passiflora edulis
分類 トケイソウ科(Passifloraceae)トケイソウ属(Passiflora)
花言葉 神聖な愛、宗教、信仰
その他 外来種(alien)

分布

A

原産地はブラジル。ハワイでは、外来種としてモロカイ島以外の主要な島々で定着している。帰化したものは、標高20~1,220mの湿潤な森や低木林に生育する。汁気の多い果実を使ってジュースや菓子などを作るために栽培もされている。また、その不思議な形の花のためか、園芸種としても人気がある。

特徴

つる性で、他の木に巻きついてかなり高く伸びることができる。葉は長さ6~18cm、幅7~20cm、深い切れ込みがあり、3つに分かれている。トケイソウという名の通り、時計のような不思議な形の花をつける。花は最大で直径9cm、白色で、中央部分は染められたような鮮やかな紫色。花弁は10枚。果実は楕円形で直径約4cm。

2つの品種

ハワイでは、果実が緑色のタイプ(熟れると紫色になる)と、黄色のタイプ(熟れると赤みを帯びる)の2つの品種がある。2品種間のハイブリッドもいくつかある。

果実が緑色の品種(f. edulis

1880年頃にオーストラリア経由で最初に種子がハワイに持ち込まれ植えられた。花は午前中に咲く。

果実が黄色の品種(f. flavicarpa

1923年頃にハワイに持ち込まれた。f. edulisよりも味がよいとされる。花は午後に咲く。

トケイソウ属

リリコイが属するトケイソウ属(Passiflora)は、21亜属、約430種からなり、アメリカ大陸の熱帯地域に分布する。ハワイでは12種確認されている。うち少なくとも3種はハワイの生態系を脅かす侵略的外来植物であるという。どの種も、巻きひげを伸ばして他の木に巻き付いて生長する。リリコイと呼ばれるのは、本種(Passiflora edulis)のみ。

利用

果実を食用にするためにハワイを含んだ広い地域で栽培されている。ハワイで流通している果実は、一般的にはレモンくらいの大きさで、皮の色は黄色と紫色の2種類がある。酸っぱいが甘みも多く、いかにも南国を彷彿させる味である。果肉は白っぽい黄色で、たくさんの種子が入っている。

果実は生食できるが、多くは加工食品になる。果実を搾ったリリコイジュースは、ハワイではグアバジュースとともに人気が高い。

ハワイのスーパー、ギフトショップ、菓子店などでは、バターにリリコイを練りこんだリリコイバターや、リリコイクッキー、リリコイチーズケーキなどが売られていて、ハワイ土産の定番のひとつになっている【写真1】。また、レストランやバーでは、レモンやライムなどの柑橘類の代わりにリリコイを使ったリリコイマルガリータや、リリコイモヒートなどのトロピカルカクテルも作られ、人気がある。

Hawaiian Paradise Candiesのリリコイバター
【写真1】Hawaiian Paradise Candiesのリリコイバター

モケスのリリコイパンケーキ

オアフ島のカイルア(Kailua)に「Moke’s Bread & Breakfast」という人気レストランがある。リリコイソースをパンケーキの上にたっぷりかけた「リリコイパンケーキ」は、モケスの代表メニューである。

パッションフルーツとイエス・キリスト

パッションフルーツは、スペイン人の南米征服の際にヨーロッパ人に知られることとなった。スペイン人は、パッションフルーツの不思議な花の形から、十字架、荊の冠、3本の釘、5つの傷などの「Passion(イエス・キリストの受難)」を連想して、パッションフルーツという名をつけたと言われている。「情熱」や「熱愛」などの意味がある普通名詞のpassionとは関係ない。

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