Chinese banyan (Ficus microcarpa)
太い枝と多くの気根を持つ常緑の高木。ハワイでは、一般的にバニヤンの木、あるいはバニヤンツリー(banyan trees)と言えば本種ではなく、同じイチジク属のインディアンバニヤン(ベンガルボダイジュ)のことを指す場合が多い。
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日本語名 | ガジュマル(榕樹) |
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ハワイ語名 | paniana、baniana |
英語名 | Chinese banyan、Malayan banyan |
学名 | Ficus microcarpa |
分類 | クワ科(Moraceae)イチジク属(Ficus) |
その他 | 外来種(alien) |
分布
A
原産地はインド、セイロン島、中国南部、沖縄、屋久島、オーストラリア、ニューカレドニア。原産地では標高1,800mくらいまでの湿り気のある土地を好む。ハワイには20世紀初頭に移入された。特にホノルルに多い。小笠原にも植えられている。
イチジク属(Ficus)
バニヤンの仲間が属するイチジク属(Ficus)は約1,000種からなり、熱帯と亜熱帯に分布する。イチジク属のそれぞれの種に、花粉を媒介するイチジクコバチ科(Agaonidae)のハチ1種が、それぞれ決まっているという。例えば、本種(F. microcarpa)の花粉を媒介するのは、Eupristina verticillataというイチジクコバチである。
ハワイでは約60種が植えられているが、今のところ野生化しているのは、花粉媒介者がいる本種のみ。ただし、F. carica(イチジク)、F. macrophylla、F. rubiginosaの3種は、それぞれの花粉を媒介するそれぞれのハチがハワイに移入されているので、いずれは野生化する可能性があるという。
特徴
高さ25mになる高木。インディアンバニヤン同様、気根はときには地面まで届き、柱のようになる。ただしインディアンバニヤンと比べると気根の数は少ない。樹皮は明るい灰色。葉は長さ5~8cm、幅3~5cm。木全体も、葉も、インディアンバニヤンよりはおしなべて小さい。
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名前の由来
日本語名のガジュマルは、琉球語である。名前の由来は諸説あるらしいが不明。ガジマル、榕樹(ようじゅ)とも言う。ちなみに、沖縄の有名な妖怪キジムナーは、大きな木、とりわけガジュマルの古木の精霊とされている。
利用
日本では室内用の観葉植物として人気があり、鉢植えで売られている。また、植栽して防風林や生垣に利用したり、材を細工物に使う地域もある。
侵略的外来種
本種の花粉媒介を行うハチ(Eupristina verticillata)がハワイに移入された1938年以降は、野生化している。種子は着地したあらゆる場所で芽を出すことができ、壁の裂け目、雨どい、他の木の枝の上などでも育つことがあり、厄介者となっている。
果実を食べる鳥によって種子が運ばれ、生育地が徐々に広がっていった。やがて在来植物の森でも見られるようになり、深刻な侵略的外来種となっている。同様の問題はフロリダ、バミューダ諸島、中南米などでもみられるという。
気根が近くの別の木に届くと、気根は徐々にその木を締め上げるように伸びていき、やがて丸ごと飲み込んでしまう。ハワイの森をハイキングすると、野生化したチャイニーズバニヤンが他の木に抱きついたり飲み込もうとしたりする姿が見られることも多く、少々気味が悪い。
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