Hāpuʻu (Cibotium spp.)
大型の木生シダ。ハワイにタカワラビ属のシダ植物は4種あり、そのすべてがハワイ固有種である。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | hāpuʻu、hāpuʻu pulu |
英語名 | — |
学名 | Cibotium chamissoi Cibotium glaucum Cibotium menziesii (hāpuʻu ʻiʻi) Cibotium nealiae |
分類 | タカワラビ科(Cibotiaceae)タカワラビ属(Cibotium) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) |
分布
E
ハワイ固有種。ハワイ火山国立公園(Hawaiʻi Volcanoes National Park)などの、陰の多い湿った森で一般的にみられる。オーヒア・レフアやオーラパの森の下層植生として生育することが多い。
特徴
大きなのものでは高さ6mになる。葉は幹の上部からヤシの木のように広がる。葉は柔らかく、長いものでは6mになる。同じ木生シダのアマウと比べると、ハープウのほうが葉が大型で、アマウは二回複葉であるのに対し、ハープウは三回の複葉化がある三回複葉である。茎は明るい茶色で、表面は金色の毛で覆われている。この毛はハワイ語でプル(pulu)と呼ばれる。
タカワラビ属
ハープウが属するタカワラビ属(Cibotium)は、11種からなる木生シダ。ハワイの4種の他には、東南アジアに5種、中央アメリカとメキシコに2種がある。属名のCibotiumは、箱や櫃(ひつ)などの意味があるkibotosというギリシア語から来ている。包膜(胞子嚢群を保護する膜)の形が箱に似ていることに由来する。
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ハープウ・イイ
Cibotium menziesiiは、ハープウ・イイ(hāpuʻu ʻiʻi)と呼ばれる【写真1】。「小さなハープウ」という意味。単にイイ(ʻiʻi)と呼ばれることもある。主要6島の標高250〜1,400mの湿潤な森に生育する。種小名のmenziesiiは、ディスカバリー号(船長:ジョージ・バンクーバー)の世界一周航海に参加してハワイを訪れたイギリス人博物学者、アーチボルド・メンジーズ(Archibald Menzies、1754–1842)に敬意を表してつけられたものである。
利用
昔のハワイ人は、若い茎を使って帽子を作った。渦巻き型の若い葉は、調理して食用にした。茎を覆う毛(プル)は、包帯として利用した。プルはまた、1867年から1884年にかけてハワイ島で盛んに収穫され、枕やマットレスの詰め物としてアメリカ本土に輸出されていたが、現在は法律で禁止されている。この期間には、2,200トン以上のハープウとアマウのプルが、ハワイから輸出されたという。また、沼地の湿った道には、ハープウの幹を使って舗装した。
今日では、装飾用に庭に植えられる。幹は、ラン(オーキッド)やアンスリウムを育てる際の培地に使われる。
その他
幹の中心部はでんぷん質になっていて、昔のハワイではブタの飼料に使われたり、飢饉のときには人の食料にもなった*。このでんぷん質の部分は、アマウ同様、野生のブタによって食べられてしまう。そして、ブタが倒したアマウやハープウの跡は穴になり、水がたまる。すると蚊が発生する。その蚊が媒介となり、鳥マラリアや鳥ポックスなどの致命的な病気を森の野鳥たちに広めてしまうため、問題となっている。
*ハワイには、「ハープウを食べるときは往生を遂げるとき」という意味のことわざがある。
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