ノニ(ヤエヤマアオキ)

Noni (Morinda citrifolia)

ノニ(ヤエヤマアオキ、Morinda citrifolia)

古代ポリネシア人によってハワイに持ち込まれた有用植物。いわゆる、カヌープラントのひとつ。昨今は、健康食品としてノニジュースやサプリメントが商業的に生産されている。

日本語名 ヤエヤマアオキ(八重山青木)
ハワイ語名 noni
英語名 Indian mulberry
学名 Morinda citrifolia
分類 アカネ科(Rubiaceae)ヤエヤマアオキ属(Morinda)
その他 ポリネシアン移入種(Polynesian introduction)

分布

P

原産地は東南アジアとオーストラリア。ハワイでは大昔に帰化していて、主要6島すべてに分布する。標高450mまでの開けた低地や森などに生育し、特に古代ハワイ人の遺跡の近くに多い。また、民家で庭木として植えられることもある。

特徴

高さ3~6mの低木もしくは小高木。葉は光沢があり、木のサイズに対して異様に大きく、長さ20~45cm、幅7~25cm。花は小さな白色で、花弁は5~7枚。果実は長さ5~10cm、直径3~4cmの洋梨くらいの大きさで、目玉を彷彿させる独特の模様がある。一個の果実のように見えるが、実際には多くの小さな果実が集まったものである。若い果実は緑色だが、熟れるとクリーム色になり、腐敗したような悪臭がある【写真1】。

ノニの果実
【写真1】ノニの若い果実(手前)と熟れた果実(奥)

ヤエヤマアオキ属

ノニが属するヤエヤマアオキ属(Morinda)は、約80種からなり、主に旧世界の熱帯に分布する。Morindaという属名は、クワの実(マルベリー)を意味するラテン語のmorusと、「インドの」という意味のindicusが合わさったもの。本種の果実がクワの実に似ていることに由来するらしい。

固有種ノニ・クアヒヴィ

ハワイには、本種の他にノニ・クアヒヴィ(noni kuahiwi)と呼ばれる固有種Morinda trimeraもある。こちらは、高さ4~16mの高木で、ノニよりもずっと小さい果実をつけるが、実の外形はよく似ている。ノニと比べると生育数は少なく、オアフ島、ラーナイ島、マウイ島のごく限られた場所の森に自生する。クアヒヴィ(kuahiwi)は「山地の」という意味。

利用:薬用

果実は、人の頭部に寄生するシラミを駆除するために使われた。まず、ノニジュースを頭にかけてシラミが生きられないようにし、仕上げとしてココナッツのシャンプーで洗ったという。

また、熟れた果実は、腫れ物に貼る湿布として使われた。他にも、果実をはじめとしたノニの様々な部分がハーブや塩と調合されて、ぜんそく、不眠、捻挫、腎臓の疾患などの治療に使われた。

果実は食用にもなるが、味はよくないらしい。飢饉のとき以外は、古代のハワイで実が食べられることはなかったようである。ミクロネシアのチューク環礁では、コレステロール値を下げるために果実が食されるという。

利用:染料

ノニの幹と根からは黄色の染料を、樹皮からは赤色の染料を作った。染料は、カパ布を染めるときに使った。

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