コオロア・ウラ

Koʻoloa ʻula (Abutilon menziesii)

コオロア・ウラ(Abutilon menziesii) コオロア・ウラ(Abutilon menziesii) コオロア・ウラ(Abutilon menziesii)

ハイビスカスと同じアオイ科の低木。ミニチュアハイビスカスのようなチャーミングな花をつける。同じくアオイ科のイリマと花の大きさや形が似ているため、地元では「レッド・イリマ」(赤いイリマ)と呼ばれることもある。

日本語名
ハワイ語名 koʻoloa ʻula
英語名
学名 Abutilon menziesii
分類 アオイ科(Malvaceae)アブチロン属(Abutilon)
その他 ハワイ固有種(endemic)
絶滅危惧種(endangered)

分布

E

ハワイ固有種。ラーナイ島、マウイ島東側、ハワイ島に分布し、標高200~520mの乾燥した森に生育するが、数は少ない。 オアフ島では絶滅したと考えられていたが、1981年に、オアフ島エヴァ(ʻEwa)のサトウキビ畑跡で本種が発見された。当時は、栽培されていたものが野生化したと考えられていたが、今日では、エヴァの個体群は自生しているものとされている。

特徴

縦にも横にも2〜3mくらいに生長する低木。熱や乾燥に強く、雨が少なく日差しの強い地域でも生育する。潮風には弱い。葉は長さ3~10cmのハート形で、先が3つに分かれている場合もある。明るい緑色で、ビロードのように柔らかく、細い毛でびっしり覆われている。

ピンク色の花をつけるコオロア・ウラ
【写真1】ピンク色の花をつけるコオロア・ウラ

花は小さなハイビスカスのような形で、枝からベルのように垂れ下がり、可愛らしい。花の色は赤色、栗色、ピンク色、白色などがあり、近くで見るとよく目立つ【写真1】。ただし、大きな葉に隠れていることも多く、遠くからだとあまり見えない場合も多い。 蕊柱(ずいちゅう)と呼ばれる、ハイビスカス類に多く見られる花の中央から突き出た雄しべと雌しべが合着した棒状の器官は、黄色。花は一年中つけるが、気温が高い夏季の数ヶ月は、やや花の数は少なくなる。果実(蒴果)に18~24粒の小さな種子が入っている。

アブチロン属

コオロア・ウラが属するアブチロン属(Abutilon)は、約150種からなる多年草もしくは低木、ときに一年草もしくは小高木。多くは熱帯から亜熱帯にかけて分布するが、温帯にも数種みられる。ハワイでは本種を含む3種の固有種、3種の外来種、1種の在来種か外来種か不明な種がある。

利用

昔のハワイ人は、コオロア・ウラの花を使って美しいレイを作っていたという。今日では、ランタン・イリマと呼ばれるAbutilon pictumが代わりに使われるそうだ。

絶滅危惧種

開発、外来の動植物、火災、病気などが原因で、絶滅の危機に瀕している。幸いなことに、本種は簡単に育てられるので、栽培によって絶滅はまぬがれているが、野生の状態ではほとんど見られない。19世紀に本種が発見されたときには、すでに数が少なかったという。

2006年4月、オアフ島カポレイ(Kapolei)のH-1フリーウェイとファーリントン・ハイウェイを南北に結ぶ新道路である、ノース-サウス・ロード(2009年10月5日開通)の建設と周辺の開発により影響を受けてしまう60本のコオロア・ウラの移植と長期にわたる保護のために、20万ドルの予算があてられることが、リンダ・リングル州知事(当時)より発表されたことがニュースになった。

本種よりもさらに希少なAbutilon eremitopetalum (the hidden-petal abutilon)という種もあるが、野生の状態では1920年代以降、確認されていない。

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