ʻAmaʻu (Sadleria spp.)
Sadleria属は6種からなり、すべてがハワイ固有種。つまりSadleria属はハワイ固有の属ということになる。6種のうち4種(S. cyatheoides、S. pallida、S. souleyetiana、S. wagneriana)は中~大型の木生シダで、新しい溶岩地帯から湿潤な森まで広く見られる。残りの2種(S. squarrosa、S. unisora)は小型のシダで、暗い湿潤な河原などに生育する。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | ʻamaʻu、maʻumaʻu、maʻu |
英語名 | — |
学名 |
木生シダのグループ Sadleria cyatheoides Sadleria pallida Sadleria souleyetiana Sadleria wagneriana 小型シダのグループ Sadleria squarrosa Sadleria unisora |
分類 | シシガシラ科(Blechnaceae) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) |
分布
E
ハワイ固有種。主に標高610mまでの高地の溶岩地帯や湿った森などに生育する。たまに標高2,000mをこえる亜高山帯でもみられる。
特徴(S. cyatheoides)
観光客がハワイ島のハワイ火山国立公園(Hawaiʻi Volcanoes National Park)などでよく目にすることができるアマウは、S. cyatheoidesである。一般的には高さは60~90cmだが、環境次第では3m近くになる。全体的にヤシの木のような形をしている。同じ木生シダのハープウと比べると、アマウのほうが葉が小型で、ハープウは三回の複葉化がある三回複葉なのに対し、アマウは二回複葉である。若い葉は太陽光線をブロックするために赤みを帯びている【写真1】。生長すると赤みは消え、緑色になる。
あらゆる環境に適応することができ、砂漠のような不毛の環境でも、湿った雨林でも、渓谷の岩の多い崖でも生育できる。溶岩流が固まったあとに最初に生えてくる植物のひとつである。
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利用
葉は屋根を葺くために使われた。幹や若葉からは、赤色の染料が作られた。葉の基部にある柔らかい毛は、ハワイ語でプル(pulu)と呼ばれ、枕の詰め物に使われていた。幹の中心部はでんぷん質になっていて、この部分は飢饉のときに調理されて食べられていたという。また、若い葉も調理されて食べられた。
伝説
アマウは、豚と人の半神カマプアア(Kamapuaʻa)が自在に化けることができる姿(キノ・ラウ。kino lau)のひとつとされている。また、アマウがまっすぐ伸びると、近いうちに洪水がやってくるという古い言い伝えがある。
ハワイ火山国立公園のキーラウエア・カルデラ(Kīlauea Caldera)にあるクレーター、ハレマウマウ(Halemaʻumaʻu)は、「アマウの家」という意味である【写真1】。ハレマウマウは、火山の女神ペレ(Pele)が現在住んでいる場所として知られているが、アマウの若葉の赤色は、ペレが近くにいる影響の表れだとされている。
その他
幹の中心部分のでんぷん質はほとんど無味だが、この部分が野生のブタによって食べらてしまうと、アマウは生育できなくなる。さらによくないことに、ブタに倒され食べられたアマウの跡には穴ができ、水がたまり、蚊が発生する。それらの蚊が媒介となって、鳥マラリアや鳥ポックスなどの野鳥の病気を広める結果となっている。ハープウでも同様の問題が起きている。
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