Kōpiko (Psychotria spp.)
コーヒーノキなどが属するアカネ科の高木または低木。全部で11種あり、ハワイ語ではすべてコーピコと呼ばれる。ハワイ島ではオーピコ(ʻōpiko)とも呼ばれる。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | kōpiko、ʻōpiko(ハワイ島) |
英語名 | — |
学名 | Psychotria fauriei Psychotria grandiflora Psychotria greenwelliae Psychotria hathewayi Psychotria hawaiiensis Psychotria hexandra Psychotria hobdyi Psychotria kaduana Psychotria mariniana Psychotria mauiensis Psychotria wawrae |
分類 | アカネ科 (Rubiaceae) ボチョウジ属(Psychotria) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) |
分布
E
11種すべてハワイ固有種。主要6島でみられるが、種によって分布する島は異なる。4種はカウアイ島のみに、2種はオアフ島のみに分布する。種ごとの分布は『特徴』の項で書く。
特徴
一般的に、葉は光沢がある楕円形で、先端は尖っている。花は小さく、白い星型。花弁は4~5枚。花がつく茎は十字状に広がり、アメリカの子供のおもちゃ「ジャックス」を彷彿させる。この花の部分のジャックスのような特徴的な形はコーピコにしかないので、一度認識すれば他の植物と混同することはない。果実は洋梨型、球形、または楕円形、オレンジ色でコーヒーの実に似ている。生育環境によって様々な形態がみられる種も多い。
1. Psychotria fauriei
オアフ島固有種。高さ3~5mの低木もしくは小高木。コオラウ山脈(Koʻolau Range)の、風がよくあたる標高520〜860mの山頂や尾根近くに生育する。
2. Psychotria grandiflora
カウアイ島固有種。最大で5mになる低木もしくは小高木。コーケエ(Kōkeʻe)とアラカイ湿原(Alakaʻi Swamp)の、標高1,040〜1,230mの湿潤な森に生育する。
3. Psychotria greenwelliae
カウアイ島固有種。高さ5mになる小高木。コーケエ地区の、標高610~1,280mの湿潤な森に生育する。
4. Psychotria hathewayi
オアフ島固有種。高さ8mになる小高木。ワイアナエ山脈(Waiʻanae Range)の標高360〜940mの湿潤な森に生育する。ときには乾燥した森でもみられる。2つの変種がある。【写真1】
5. Psychotria hawaiiensis
樹高12mになる高木。モロカイ島、マウイ島、ハワイ島の標高150〜1,590mの湿潤な森に生育する。特にハワイ島に多い。ときには乾燥した森でもみられる。3つの変種がある。コーピコ・ウラ(kōpiko ʻula)とも呼ばれる。
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6. Psychotria hexandra
高さ6mになる低木または小高木。カウアイ島とオアフ島の標高360〜1,250mの湿潤な森に生育する。Psychotria hexandra subsp. hexandraとPsychotria hexandra subsp. oahuensisのふたつの亜種があり、両亜種ともさらにそれぞれ3つの変種に分けられる。
7. Psychotria hobdyi
カウアイ島固有種。高さ8mになる高木。標高600〜610mのごく限られた湿潤な森に生育するが、数は少ない。
8. Psychotria kaduana
高さ2〜4mの低木。ハワイ島を除いた主要6島に分布する。標高180〜1,220mの湿潤な谷や森に生育する。コーピコの中ではもっとも分布域が広いが、生育環境によって形態は様々。コーピコ・ケア(kōpiko kea)とも呼ばれる。【写真2】
9. Psychotria mariniana
まれに樹高20mに達することもある高木。ハワイ島を除いた主要6島に分布する。標高180〜1,220mの湿潤な森に生育する。場所によって形態が異なる。【写真3】
10. Psychotria mauiensis
高さ4mまでの低木だったり、12mに達する高木だったりと、生育する場所によって形態は著しく異なる。葉の形や大きさや花の大きさなども様々。オアフ島を除いた主要6島に分布する。標高215〜1,470mの湿潤な森に生育する。
11. Psychotria wawrae
カウアイ島固有種。高さ5mになる小高木。カウアイ島東部の、標高120~850mの湿潤な森に生育する。
ボチョウジ属
コーピコが属するボチョウジ属(Psychotria)は、1,500種以上からなる大きな属で、熱帯地方に広く分布する。ハワイでコーピコと呼ばれる11種の固有種は、大昔にハワイに定着した2種から分化したものと考えられている。
ピコ
葉の裏側の主脈と側脈がつながるところに、小さな点状のくぼみのような腺がいくつかある。この腺は、ハワイ語でピコ(piko)とよばれる。ピコはへそという意味で、名前の由来になっている。ピコは、よく目立つが、種によってはとても小さかったり、まったく見られなかったりもする。
利用
昔のハワイ人は、コーピコの木材でカパを打つときの作業台を作ったり、薪木に使ったりした。いくつかの種は丈夫な材木になりうるが、反りやすく、加工するには小さすぎるという欠点があるため、盛んに利用されることはなかったようだ。
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