Nānū (Gardenia brighamii)
庭木としてハワイでも人気があるティアレ(タヒチアン・ガーデニア)と同じクチナシ属のなかま。
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日本語名 | — |
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ハワイ語名 | nānū, nāʻū |
英語名 | — |
学名 | Gardenia brighamii |
分類 | アカネ科 (Rubiaceae)クチナシ属(Gardenia) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) 絶滅危惧種(endangered) |
分布
E
ハワイ固有種。昔はハワイの主要な島々の乾燥した標高350~520mの森に自生していたと考えられている。現在は、野生の状態ではオアフ島、モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島西部、ハワイ島のごく限られた場所に1~5本単位でわずかにみられるだけである。
特徴
大きなもので高さは5mになる。葉は楕円形で、長さ2.2~10.5cm、幅1.5~5.5cm。花は白色で、枝の先に単一で咲く。花弁は6枚で、厚みがある。花には、ココナッツを彷彿させる強い芳香がある。果実は直径2.5〜3.5cmで、緑色に白い斑点がある。
クチナシ属
ナーヌーが属するクチナシ属(Gardenia)は、約250種からなり、旧世界の熱帯地域と太平洋の島々に分布する。ハワイには本種と、Gardenia mannii、Gardenia remyiの3種が自生する。3種ともハワイ固有種で、本種とG. manniiは絶滅危惧種。G. remyiも数は少ない。ティアレ(Gardenia taitensis)はハワイの民家や公園などで多く植えられているが、野生化はしていない。
利用
昔のハワイ人は、カパ布を打つときの作業台(最長1.7m、幅10cmくらい)の材木に本種を使ったそうだ。また、花を繋げてレイを作ったほか、果肉から黄色の染料を作り、カパに模様をつけた。
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深刻な絶滅のおそれ
野生の状態で生育している本種の数は、50本以下だと言われおり、深刻な絶滅の危機に瀕している。本種にとって脅威となるものは、ヤギ、シカ、ネズミ、ウシ、無脊椎動物、外来植物、火災、開発などである。
『Manual』によると、現存している個体は、オアフ島のプウクウア(Puʻukuʻua)という丘で保護用のフェンスに囲まれている1本と、ナーナークリ(Nānākuli)で発見された2本、モロカイ島のマウナ・ロア*(Mauna Loa)に数本、ラーナイ島のカーネプウ(Kānepuʻu)に数本、マウイ島(西マウイ)のオロワル(Olowalu)に数本、ハワイ島のプウワアワア(Puʻuwaʻawaʻa)に1本あるのみであるという。
*ハワイ島の有名なマウナ・ロアではない。
復活の希望
野生の状態では絶滅寸前のナーヌーだが、復活の希望はある。ハワイでは、ハワイの在来植物を自宅の庭に植えるガーデニング愛好家が増えているという。当然、本種にもスポットがあたり、今日では多くのナーヌーが民家の庭に植えられている。
サンセットに叫ぶ「ナーウー」
本種は、ハワイ語でナーヌー(nānū)、またはナーウー(nāʻū)と呼ばれる。余談だが、ナーウーには「深いため息をつく」や「長く息をする」などの意味がある動詞でもある。昔、ある地域では、子供達が日の入りのときに「ナーウー」と叫ぶという遊びがあったという。子供達は、息の続くかぎり最後の「ウー」を伸ばし、その声が続いているあいだは日が沈まないと信じられていた。
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