Kalo (Colocasia esculenta)
日本語名 | サトイモ、タロ |
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ハワイ語名 | kalo |
英語名 | — |
学名 | Colocasia esculenta |
分類 | サトイモ科(Araceae)サトイモ属(Colocasia) |
その他 | ポリネシアン移入種(Polynesian introduction) |
ポリネシア人によってハワイに持ち込まれた有用植物。古代からハワイで最も重要な作物である。ハワイ以外でも熱帯の広い地域で栽培されている。ハワイでは、栽培技術が他の地域よりも高度に発達していて、約80の栽培品種がある。
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分布
P
インド原産と考えられている。ハワイでは主要6島全てで栽培されている。山間の川近くなどでは野生化している。
特徴
高さ1m。葉はハート型で、長さ25~45cm、幅12~32cm。根茎は最大で直径15cmになる。花はめったにつけない。一般的に栽培品種は、野生のものより大きい。
栽培
古代ハワイ人は、気候、土壌、水の有無など、それぞれの場所の環境条件に適した300種類以上のカロを栽培していたという。大きく分けると水耕されたものと陸耕されたものの2種類があった。水耕のカロは、ロイ(loʻi)と呼ばれる人口の水田に植えられた。陸耕のカロは、雨の多い森に植えられることが多かった。
利用:ポイ
球茎に火を通し、すりつぶしたものに水を加えて練り込むと、粘り気のあるペースト状なる。これはポイ(poi)とよばれ、ポリネシア人の主食だった。カロは、主にポイのために栽培されていた。ポイは、今日でもポピュラーな食材で、スーパーで簡単に買うことができる。ハワイ伝統のルーアウ(lūʻau、宴)では必ず出てくるほか、離乳食として乳幼児に与えられることも多い。ほのかな酸味があり、塩気のある料理とよく合う。日本人はあまりその味を好まないようだが、筆者は好んで食べる。
そもそもルーアウとは、カロの若葉のことで、特に若葉を鶏肉やタコとココナッツミルクで焼いた料理のことを指す。宴には必ずタロの若葉が出されることから、19世紀の半ばごろから宴そのものもルーアウと呼ばれるようになったという。葉はホウレンソウのような味だが、生食はできない。
その他の利用
オーペル(ʻōpelu)と呼ばれるムロアジ類(ムロアジ、クサヤモロ)を釣るときの餌に使われた。そのためか、オーペルはカロの品種名のひとつでもある。また、球茎を生のまますりつぶしたものにココナッツミルクを加えて焼いたり蒸したりした、クーロロ(kūlolo)と呼ばれるプディングが作られた。
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伝説
ハワイの伝説の中で重要な位置を占めており、神聖な植物である。宗教的な儀式にもカロが使われていた。神話によると、ワーケア(Wākea、空の神、男性神)とパパ(Papa、大地の神、女性神)の間に子が生まれたが、すぐに亡くなってしまった。二人は、亡くなった子を家の背後に埋葬して墓を作った。すると、その場所からカロが育ち、ハーロアナカ(Hāloanaka、長い茎の振動する葉)と名付けられた。やがて二人の間に男の子が生まれ、ハーロア(Hāloa、長い茎)と名付けられ、この子が人類の先祖になった。つまり、カロは人類の兄とされているわけだ。
カラーカウア王(David Kalākaua、1836–1891)は、自身の先祖がハーロアであるとし、彼の王冠にはカロの葉のシンボルマークが使われた。このようなカロの神聖性のため、女性がカロを栽培したり調理したりすることは禁止されていた。ただし、カロからポイが作られると、女性も食べることができた。ハワイのイベント会場などでポイ作りのデモンストレーションが行われているのを観光客が目にする機会もあると思うが、このときにポイを作るのは、今日でも必ず男性である。
ハナレイのカロ畑
カウアイ島北部にあるハナレイ・バレー(Hanalei Valley)のカロ畑がよく知られている。560号線沿いに、ハナレイ・バレーを見渡せる展望所(Hanalei Valley Lookout)があり、車を降りた場所からすぐ広大なカロ畑の景色を望むことができる。
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