Kokiʻo keʻokeʻo (H. waimeae / H. arnottianus)
ハワイ原産の白いハイビスカス。昔のハワイでは今よりもっとたくさん生えていたようで、古代のチャントや物語にもたびたび登場する。長い歴史があるハワイでのハイビスカスの栽培品種作りにおいて、主要な交配親である。
スポンサーリンク
日本語名 | — |
---|---|
ハワイ語名 | kokiʻo keʻokeʻo、pāmakani、kokiʻo kea |
英語名 | — |
学名 | Hibiscus waimeae Hibiscus arnottianus Hibiscus arnottianus subsp. immaculatus |
分類 | アオイ科(Malvaceae)フヨウ属(Hibiscus) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) Hibiscus arnottianus subsp. immaculatusは絶滅危惧種(endangered) |
分布
E*
ハワイ固有種。カウアイ島原産の種(Hibiscus waimeae)、オアフ島原産の種(Hibiscus arnottianus)、さらに、モロカイ島原産の亜種(Hibiscus arnottianus subsp. immaculatus)がある。カウアイ島原産種は、フロリダ州や西インド諸島に種子が送られ、今ではエキゾチックな熱帯の花として、庭などに盛んに植えられているという。
カウアイ島のコキオ・ケオケオ Hibiscus waimeae
カウアイ島固有種。標高250~1,200mの湿潤な森に自生する。種小名waimeaeが示す通り、ワイメア渓谷(Waimea Canyon)に生育するが、カウアイ島北部や西部の海に近い谷でもみられる。
樹高6~10mの小高木または高木。幹は灰色。葉は長さ5~18cm、幅3~13cm。花は枝の先に一輪つけ、ハイビスカスには珍しく強い芳香がある。花弁はオアフ種と比べて幅があり、先端が丸い。花の中央から突き出た蕊柱*は最長15cmで、オアフ種の蕊柱と比べて明るい赤色。蕊柱の上半分には、最長2.5cmの花糸**が放射状に多数つく。hanneraeとwaimeaeの二つの亜種に分けられる。hanneraeの方が葉が大きいが、花は小さい。
*ずいちゅう。雄しべと雌しべが合着した棒状の器官。
**かし。雄しべの葯を支える糸状の部分。
オアフ島のコキオ・ケオケオ Hibiscus arnottianus
オアフ島固有種。ワイアナエ山脈(Waiʻanae Range)とコオラウ山脈(Koʻolau Range)の、標高300~800mの湿潤な森に自生する。
樹高8mまで成長する低木または小高木。葉は長さ4~15cm、幅2~11cm。花は枝の先に一輪つける。芳香は少ない。花弁は白色だが、たまに薄いピンク色のものもある。花弁は長さ6~11cmで、カウアイ種と比べると全体的に細長い。花の中央から突き出た蕊柱は長さ8~19cmで、濃い赤色かピンク色。蕊柱の上から1/3~1/2の部分には、長さ0.8~3cmの花糸が放射状に多数つく。
スポンサーリンク
モロカイ島のコキオ・ケオケオ Hibiscus arnottianus subsp. immaculatus
モロカイ島に分布する、オアフ種の亜種。きわめて数が少なく、野生の状態ではモロカイ島北部のわずか一カ所にわずか数本が残っているのみであるという。蕊柱は白色。
名前の由来
コキオ(kokiʻo)は、ハイビスカスを表すハワイ語で、特にコキオ・ウラ(赤いハイビスカス)と、コキア属(Kokia)4種を指す。ケオ(keʻo)は「白」という意味。ハワイ語では意味を強調するときに単語を繰り返すことがあるので、コキオ・ケオケオ(keʻokeʻo)で「真っ白なハイビスカス」とでも訳せばよいだろうか。ちなみに、ウラ(ʻula)は赤という意味なので、コキオ・ウラは「赤いハイビスカス」となる。
利用
昔のハワイ人はコキオ・ケオケオを家の近くに植えて、装飾に使ったという。香りのよいコキオ・ケオケオの花は、特別な儀式の時などに珍重され、女性が花を繋げて花輪を作ったりしたそうだ。花は繊細で傷つきやすいため、レイの材料には使われなかったようである。
タンタラスで出会った白いハイビスカス
ハイビスカスといえば鉢植えのものや垣根の低木をイメージすることが多いが、野生の状態で生育するコキオ・ケオケオは立派な幹を持つ木本である。花は、葉の緑の背景に白い花弁、そして赤い雄しべと雌しべがよく映えて、美しい。筆者がタンタラス山(Tantalus、オアフ島、614m)の森をハイキング中に、雨のなかで可憐に咲く野生のコキオ・ケオケオの花にはじめて出会ったときの感動は、忘れがたいものである。
作成日: