クプクプ(タマシダ)

Kupukupu (Nephrolepis cordifolia)

クプクプ(タマシダ) クプクプ(タマシダ) クプクプ(タマシダ)

タマシダ科のシダ植物。『Hawaiian Dictionary』(Mary Kawena Pukui、Samuel H. Elbert)によると、クプクプというハワイ語名は本種のみを指すものではなく、一つの葉柄からなるシダ類の総称である。もうひとつの在来種セイヨウタマシダ(Nephrolepis exaltata)についても後述する。

日本語名 タマシダ(玉羊歯)
ハワイ語名 kupukupu、ʻōkupukupu
英語名 sword fern
学名 Nephrolepis cordifolia
分類 タマシダ科(Nephrolepidaceae)タマシダ属(Nephrolepis)
その他 ハワイ在来種(indigenous)

分布

I

ハワイ在来種。主要6島すべてに分布する。標高440~1,525mの湿潤な森で普通に見られる。

タマシダ属(Nephrolepis)

クプクプが属するタマシダ属(Nephrolepis)は19種からなり、熱帯から温帯にかけて広く分布する。

特徴

クプクプ(タマシダ)
【写真1】クプクプの葉(先端部分)

中型の単葉シダ。普通は土壌から生えるが、岩から生えたり木に着生する場合もある。葉の長さは30~70cmで、直立するものと垂れるものが見られる。葉は羽状複葉で、光沢があり、黄色っぽい緑色または濃い緑色。葉の幅は基部と先端以外ほぼ一定で、先端は剣のように細くなる【写真1】。羽片の裏には、腎臓形の包膜が中央脈の両側に並ぶ。

セイヨウタマシダNephrolepis exaltata

セイヨウタマシダ(Nephrolepis exaltata)
【写真2】セイヨウタマシダ

本種と同じタマシダ属の在来種【写真2】。クプクプ(kupukupu)やオークプクプ(ʻōkupukupu)のほかに、パーモホ(pāmoho)とも呼ばれる。またニイハウ島では、ニアニアウ(niʻaniʻau)やパラパライ(palapalai)とも呼ばれる。

ハワイの主要6島全てに分布し、標高25〜1,400mの湿潤な森や乾燥した森でみられる。火山活動によって流れ出た溶岩が冷え固まったあとの大地で、最初に根付く植物のひとつである。

葉は長さ30~100cmで直立する。N. cordifoliaと比べると葉の中央部分が幅広く、羽片のひとつひとつが大きいのが特徴。種小名のexaltataは、ラテン語で「高い」という意味のexaltatusに由来する。

N. exaltataからは100種類ほどの栽培品種が作られていて、世界規模で流通している。特にボストンタマシダ(Boston fern、N. exaltata ‘Bostoniensis’)は広く知られている。

名前の由来

ハワイ語のクプ(kupu)には、「発芽する」という意味がある。地面からだけでなく木や岩からも生えてくる様子が、ハワイ人にとって印象的だったのだろうか。フラの女神ラカに捧げる祭壇には、クプクプを飾ることで知の“芽が出る”とされた。

英語名のsword fern(sword=刀、fern=シダ)は、葉の形が刀に似ていることに由来する。

種小名のcordifoliaは、cordis=ハート、folium=葉という意味のラテン語で、直訳すると「ハート形の葉」となる。本種の葉はハート形ではないのに、なぜこのような名前がつけられたのかわからない。

その他

園芸でよく使われるシダだが、園芸用に流通しているものはハワイ原産ではない可能性があるという。

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