Indian banyan (Ficus benghalensis)
インドの国樹であり、ヒンドゥー教や仏教では神聖な木とされている。ハワイで「バニヤンの木(banyan trees)」と言えば、チャイニーズバニヤン(ガジュマル)ではなく本種のことを指すのが一般的である。ハワイでの認知度はとても高い。
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日本語名 | バンヤン、ベンガルボダイジュ |
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ハワイ語名 | paniana、baniana |
英語名 | Indian banyan |
学名 | Ficus benghalensis |
分類 | クワ科(Moraceae)イチジク属(Ficus) |
その他 | 外来種(alien) |
分布
A
原産地はインド、ミャンマー、タイ、中国南部、マレーシアなど。ハワイでは多く植栽されているが、本種の花粉を媒体するイチジクコバチ*がハワイには生息していないため、野生化はしていない。
*イチジク属の花粉の送粉はイチジクコバチ科(Agaonidae)のハチによって行われるが、それぞれの種にそれぞれ1種のハチのみが花粉を媒介するという「1種 対 1種」の共生関係を持つ。チャイニーズバニヤンの場合は、その唯一の花粉媒介者である Eupristina verticillata というイチジクコバチが1938年にハワイに移入されて以降は野生化している。
特徴
枝から垂れる気根が特徴の常緑高木。高さは30mになる。世界でもっとも横に大きく広がる樹木のひとつとされる。ハワイでも樹齢100年以上、樹冠100m以上の巨木がいくつもある。多数の気根が幹や枝から垂れて地面に達し、やがて柱のように太くなる。一本の木だけでも、まるで森のようになる。果実はイチジクに似ている。
名前の由来
バニヤン(バンヤン)という名前は、古代ヒンズーの商人(banyans)がこの木の下で商品を広げて商いをしていたことに由来するという。
正式な日本語名はバンヤンなのだが、バニヤンと読むことが浸透しているように思われる。ハワイ在住の日本人はほぼ全員がバニヤンと言う。北アメリカの民話に出てくる伝説のきこりポール・バニヤン(Paul Bunyan)や、『The Pilgrim’s Progress(天路歴程)』の著者として知られる英国人作家ジョン・バニヤン(John Bunyan, 1628–1688)などの影響だろうか。
日本語名にあるベンガル(Bengal)は、インド西部とバングラデシュ東部をまたぐ地域の名前。ガンジス川とブラマプトラ川の下流地域にあたる。ボダイジュ(菩提樹)は、本種と同じイチジク属の常緑高木(Ficus religiosa)のこと。ただし、シナノキ科にも同名の高木(Tilia miqueliana)があり、ややこしい。
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利用
広大で涼しい木陰をつくるので、公園ではインディアンバニヤンの大樹の下でピクニックやバーベキューを楽しむ人が多い。また、子供たちが木登りやターザン遊びをする絶好の木となっている。
ハワイの主なインディアンバニヤン
ハワイでは特にホノルルに多い。ワイキキのホテルやビーチ沿い、カピオラニ公園(Kapiʻolani Regional Park)、トーマス・スクエア(Thomas Square)などで見ることができる【写真1】。
ハワイ島のヒロ(Hilo)のヒロ・ハワイアン・ホテルやナニロア・ボルケーノズ・リゾートなどのホテルが立ち並ぶ通りはバニヤン・ドライブ(Banyan Drive)といい、その名の通り巨大なインディアンバニヤンの並木通りとなっている。また、同じくハワイ島のプナ(Puna)にあるケアアウ・ヴィレッジ(Keaʻau Village)や、マウイ島のラハイナ(Lahaina)にも、有名なインディアンバニヤンの巨木がある。ラハイナのインディアンバニヤンは、ハワイ州で最も大きな木として特によく知られている【写真2】。
インターナショナルマーケットプレイスのバニヤン
ワイキキのインターナショナルマーケットプレイス(International Market Place)のインディアンバニヤンは、ワイキキの歴史とともに歩んできた古樹として名高い【写真3】。
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