Uluhe (Dicranopteris linearis)
ハワイの広い範囲に自生するシダ。湿潤な森や高地を歩けばほぼ必ず目にすることができる。ウヌヘ(unuhe)とも呼ばれる。
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日本語名 | コシダ(小羊歯) |
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ハワイ語名 | uluhe、unuhe |
英語名 | false staghorn fern |
学名 | Dicranopteris linearis |
分類 | ウラジロ科(Gleicheniaceae)コシダ属(Dicranopteris) |
その他 | ハワイ在来種(indigenous) |
分布
I
ハワイ在来種。主要6島の海岸近くから標高1,680mまでの広い地域に生育する。ハワイ以外ではアフリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、日本、アメリカ大陸、ポリネシア、インドネシア、カリブ海諸島などに広く分布する。
特徴
ひとつの個体の大きさを図るのは不可能なほど大きく生長する。茎は丸く、焦げ茶色。茎は分岐を繰り返し、先端はさらに細い2本の茎に分かれ、それぞれが2列の羽片(小葉)をつける。羽片は、葉柄の先になるにつれ短くなる。明るい黄緑色の葉に覆われたウルヘの群落は、森の植生のなかでよく目立つ。オーヒア・レフアと共生している場合も多い。
分厚いシダの絨毯
地面を覆うようにはびこり、まるで分厚い絨毯を敷くように密に生い茂る【写真1】。山道の寸断、崖崩れ、倒木、山火事などによって地面が剥き出しになった場所は、すぐにウルへで覆われる。丘の斜面がすべてウルへの群落で覆われていることも珍しくない。乾燥した地域では、ウルへの“絨毯”の厚さは30~60cmほどだが、水気の多いところでは3m以上にもなる。地面の窪みや崖の落ち込みを隠すようにウルヘの“絨毯”が覆っていることもあるので、ハイカーは注意が必要である。
コシダ属
ウルへが属するコシダ属(Dicranopteris)は、約12種からなり、マレーシアに多い。ハワイには在来種として本種のみ自生する。
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その他のウルへ
固有種 Sticherus owhyhensis
一般的にウルヘやウヌヘと呼ばれるのはDicranopteris linearisだが、固有種Sticherus owhyhensisもウルヘ、あるいはウヌヘと呼ばれる【写真1】。D. linearisは茎が分岐した先のみに羽片がつくのに対して、本種は茎全体に羽片がある。葉は鈍い緑色で、羽片の長さは15〜40cm。枝は長さ1〜1.2m。D. linearisよりも個体数は少なく、標高600m以下の場所には生育しない。主要6島に分布するが、オアフ島では少ない。種小名owhyhensisは、ハワイの古い綴りである「Owhyee」に由来する。
ウルヘ・ラウ・ヌイ
近縁種に、ウルヘ・ラウ・ヌイ(uluhe lau nui)と呼ばれる固有種(Diplopterygium pinnatum)もある【写真2】。ウルヘ・ラウ・ヌイは、「大きな葉のウルヘ」という意味。高さ約1mになり、茎は1〜2回だけ分岐し、分岐した先の茎はウルへのそれよりもかなり長い。主要な島々の標高350〜1,500mに自生する。ウルへと共生していることが多いが、数はウルへよりもずっと少なく、ハイカーが目にする機会はあまりない。
利用
昔のハワイ人は、ウルへの葉を煎じたものを下剤として飲んでいたそうだ。
その他
1990年代には、two-spotted leafhopperと呼ばれる外来のヨコバイの仲間(Sophonia rufofascia)がもたらす病気が原因で、ハワイの全ての島々の広い範囲のウルヘが減少した。この病気の拡大は収まったが、その後も病気の症状がみられる個体は多いという。
アオ(ʻAʻo、英語名:Newell’s Shearwater、学名:Puffinus auricularis newelli)と呼ばれる海鳥は、山地のウルへ群落下の地面に穴を掘って巣作りをする。
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