Monkeypod (Samanea saman)
『この木なんの木』でおなじみ、日立グループのテレビコマーシャルに出てくる巨木——日本人には有名なあの木は、ホノルル市内のモアナルア・ガーデンズ(Moanalua Gardens)という公園内にある。英語ではモンキーポッド(monkeypod)という。この木の古い学名「Pithecellobium(猿のイヤリング)」が、名前の由来だそうだ。
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日本語名 | アメフリノキ、アメリカネム |
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ハワイ語名 | ʻohai |
英語名 | monkeypod、rain tree |
学名 | Samanea saman |
分類 | マメ科(Fabaceae)サマネア属(Samanea) |
その他 | 外来種(alien) |
分布
A
熱帯アメリカ原産。ハワイには1847年に移入され、今日では主要6島すべてで見られる。ハワイでは低地でよく見られ、道路や公園等に多く植えられている。
特徴
生長が早く、樹高は大きなもので30mになる。木全体は、左右対称の巨大な傘のような形をしている。葉は4~7組の羽状複葉で、2~10組の小葉からなる。小葉は長さ1.5~6cm、幅0.7~4cm。花はピンク色で、ネムノキの花に似ている【写真1】。花のピークは春から初夏にかけて。冬でも全く花をつけないわけではない。冬は黒い豆果が枝からぶら下がる。ネムノキと同じように、夜と曇りのときは葉を閉じ、羽を開いていないときの蝶のような姿になる。閉じた葉にたまった雫が滴るため、アメフリノキ(rain tree)という別名もある(名前の由来は諸説ある)。
利用
ハワイの定番土産のひとつである木製の安価な器の多くが、モンキーポッドで作られている。しかし、これらの器は、フィリピン、タイ、マレーシアなどからの輸入品である。
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『日立の樹』
日立のコマーシャルに出てくる、モアナルア・ガーデンズの大きなモンキーポッドは、『The Hitachi Tree(日立の樹)』と名付けられている。樹齢130年といわれる『日立の樹』は、ハワイのモンキーポッドのなかでも特別に大きく、樹高25m、樹冠の幅40m、幹回りは7mもある。
オアフ島内の木々を保存するために、1975年にホノルル市によって「Exceptional Tree Program」が始められた。Exceptionalには「特別な」などの意味がある。歴史的・文化的な価値、希少性、固有性、大きさ、樹齢などの基準を一つ以上満たす木を『Exceptional Tree』に認定して、保護に努めている。『日立の樹』は、モアナルア・ガーデンズの他の2本のモンキーポッドとともに、この『Exceptional Tree』に認定されている。
みんなが集まる木
ハワイの人々にとって、モンキーポッドは「木陰に集うための木」であるように思う【写真2】。『日立の樹』があるモアナルア・ガーデンズでは、2016年までは毎年7月に『プリンスロット・フラフェスティバル』というフラの祭典が開かれていた*。大きなモンキーポッドに覆われた木陰で鑑賞するフラは、とても気持ちのよいものだった。また、8月の『ナ・フラ・フェスティバル』や、その他たくさんの催しがあるカピオラニ公園(Kapiʻolani Regional Park)のバンドスタンドの観客席もまた、モンキーポッドの木陰である。歌詞にあるとおり、まさに「みんなが集まる木」だ。
*2017年以降はイオラニ宮殿で開催されている。
その他
ハワイ王朝時代の1847年、たった2粒のモンキーポッドの種子が、メキシコ領事によってハワイに持ち込まれた。ひとつは、ホノルルのビショップ・ストリート(Bishop Street)とホテル・ストリート(Hotel Street)の交差点に植えられて50年の樹齢を数えた。もうひとつは、カウアイ島のコーロア(Kōloa)に植えられ、現在その場所はモンキーポッドの木立になっているそうである。
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