Gingers (Zingiberaceae)
ジンジャー(ginger)またはアヴァプヒ(ʻawapuhi)と呼ばれ、ハワイでは庭やリゾート地などで好んで植えられる。また、野生化した一部の種は、水気の多い低地のハイキングトレイルで普通にみることができる。
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ハワイ語名 | ʻawapuhi |
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英語名 | ginger(s) |
分類 | ショウガ科(Zingiberaceae) |
花言葉 | 無駄なこと(ヘディキウム) |
ジンジャーの仲間は、地元でもハワイ在来の植物だと思っている人が多いが、在来種はひとつもない。ウコン(Curcuma longa)とシャンプージンジャー(Zingiber zerumbet)は、古代ポリネシア人が有用植物としてハワイに持ち込んだ、いわゆるカヌープラントである。それ以外は、すべて近代以降にハワイに持ち込まれた外来種である。野生の状態では、5属8種が生育している【表1】。多くの園芸種もあり、造園や切り花に好んで用いられる。
ハナミョウガ属(Alpinia) |
Alpinia mutica スモールシェルジンジャー Alpinia purpurata レッドジンジャー |
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ウコン属(Curcuma) | Curcuma longa ウコン(オーレナ) |
エトリンゲラ属(Etlingera) | Etlingera cevuga |
シュクシャ属(Hedychium) |
Hedychium coronarium シュクシャ Hedychium flavescens イエロージンジャー Hedychium gardnerianum キバナシュクシャ(カーヒリジンジャー) |
ショウガ属(Zingiber) | Zingiber zerumbet シャンプージンジャー(アヴァプヒ) |
ハナミョウガ属(アルピニア)Alpinia
約200種からなり、東南アジア、インド-マレシア植物区系区、オーストラリア、中国、日本などに分布する。ハワイにはスモールシェルジンジャー(Alpinia mutica)とレッドジンジャー(Alpinia purpurata)が外来種として定着している。他にゲットウ(Alpinia zerumbet)が観賞植物として人気がある。
スモールシェルジンジャー
Alpinia mutica
高さ1~2m。原産地はインド、中国、マレー半島、ボルネオ島。ハワイではしばしば栽培され、1964年にオアフ島で野生化が確認された。オーキッドジンジャー(orchid ginger)、スモールシェルフラワー(small shellflower)とも呼ばれる。
レッドジンジャー
Alpinia purpurata
高さ1~5m。栽培されたものは7mに達することもある。花序は長さ15~30cm。赤い部分は苞で、栽培されたものにはピンク色や白色の苞もある。苞の間から出る花冠は白色。
原産地はニューカレドニア、ニューヘブリディーズ諸島、ソロモン諸島、ビスマルク諸島、ブーゲンビル島など。熱帯地方で広く栽培され、野生化している。ハワイには1928年に観賞植物として移入された。少なくともカウアイ島とモロカイ島で野生化している。
ハワイ語ではアヴァプヒ・ウラウラ(ʻawapuhi ʻulaʻula)と呼ばれる。「赤いジンジャー」という意味である。いけばなや造園に好んで用いられる。
ゲットウ(月桃)
Alpinia zerumbet
高さ2~3mの多年草。熱帯地方で広く栽培され、ハワイでは観賞植物としてスモールシェルジンジャーよりも人気がある。道端で見られることもあるが、野生化はしていないとされる。スモールシェルジンジャーより花も葉も大きい。花はピンク色と白色で、おじぎをしているように垂れ下がる。唇弁は黄色。シェルジンジャー(shell ginger)と呼ばれることが多い。
ウコン属(クルクマ)Curcuma
ウコン(鬱金)
Curcuma longa
高さ0.5~1.5mの草本。インド原産とされ、人の手によって熱帯アジア、太平洋の島々に広がった。薬用、染料、料理の味付けなどに使われる有用植物。ハワイには古代ポリネシア人によって持ち込まれた。現在でも栽培され、少なくともモロカイ島、マウイ島、ハワイ島では野生化している。英語でターメリック(turmeric)と呼ばれるほか、オーレナ(ʻōlena)、レナ(lena)、マーレナ(mālena)などのハワイ語名がある。
エトリンゲラ属 Etlingera
約57種からなり、東南アジア、ニューギニア、ビスマルク諸島、フィリピン、オーストラリア、ポリネシアに分布する。
Etlingera cevuga
高さ2~4mの多年草。原産地はフィジー、サモア、ソシエテ諸島。ハワイでは植物園や樹木園以外ではあまり栽培されることはない。1986年に、オアフ島のコオラウ山脈(Koʻolau Range)で大きな群落が発見された。
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トーチジンジャー(カンタン)
Etlingera elatior
ハワイでは古くから人気が高い。若い花の苞はピンク色だが、やがて濃い赤色になる。花冠は赤色で、縁の部分は黄色。
シュクシャ属(ヘディキウム)Hedychium
約45~50種からなり、マダガスカル島から中国南西部まで広く分布する。数種は観賞植物として栽培され、各地で野生化している。
シュクシャ(ホワイトジンジャー)
Hedychium coronarium
高さ1~2mの草本。ラン(オーキッド)に似た白い花は芳香があり、レイや香水に使われる。ヒマラヤと中国南西部が原産とされる。ハワイでは栽培されたものが野生化しており、オアフ島、モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島、ハワイ島の湿潤な森に生育する。
英語ではホワイトジンジャー(white ginger)、コモンジンジャーリリー(common ginger lily)、バタフライリリー(butterfly lily)、ガーランドフラワー(garland flower)などの呼び名がある。ハワイ語ではアヴァプヒ・ケオケオ(ʻawapuhi keʻokeʻo)という。「白いジンジャー」という意味である。日本語名はシュクシャ(縮砂)、またはハナシュクシャ(花縮砂)。
繊細なホワイトジンジャーの花を使って時間をかけて作られるレイは高価であり、特別な相手に送られる場合が多い。一方で、野生化した本種は侵略的外来種となっている。
イエロージンジャー
Hedychium flavescens
高さ1.5~2mの多年草。インド北東部とヒマラヤが原産。ハワイでは多くが栽培され、主要6島すべてで野生化している。湿気のある場所を好む。イエロージンジャー(yellow ginger)の他に、イエロージンジャーリリー(yellow ginger lily)、クリームジンジャー(cream ginger)などの呼び名がある。ハワイ語ではアヴァプヒ・メレメレ(ʻawapuhi melemele)と呼ばれる。「黄色いジンジャー」という意味である。ホワイトジンジャー同様、レイフラワーとして人気が高い。
キバナシュクシャ(カーヒリジンジャー)
Hedychium gardnerianum
高さ1~2mの草本。原産地はヒマラヤとその周辺地域。ハワイでは外来種としてカウアイ島、ラーナイ島、マウイ島、ハワイ島に生育する。花はゴージャスで、カーヒリ*に似ていることから、カーヒリジンジャー(kāhili ginger)やアヴァプヒ・カーヒリ(ʻawapuhi kāhili)などと呼ばれる。在来植物を追いやって繁茂するため、カウアイ島のコーケエ州立公園(Kōkeʻe State Park)やハワイ島のハワイ火山国立公園(Hawaiʻi Volcanoes National Park)などでは深刻な有害植物となっている。
*Kāhili。鳥の羽で作られた、日本の毛槍に似たポール状の装飾品。王族の権威を象徴した。
ショウガ属(ジンギベル)Zingiber
約80~100種からなり、熱帯アジア、インド-マレシア植物区系区、オーストラリア北部などに分布する。ショウガ(Zingiber officinale)やミョウガ(Zingiber mioga)を含む。
ビーハイブジンジャー
Zingiber spectabile
高さ1.5〜2.5mの多年草。マレーシア原産。名前は、花序がミツバチの巣(beehive)に似ていることに由来する。苞の間から顔を出す小さな花冠は黄色と紫色で、斑点があり、ラン(オーキッド)の花に似ている。マウイ島とハワイ島では商業的に栽培されている。主にリゾート地に飾られるいけばなに使われる。
シャンプージンジャー
Zingiber zerumbet
高さ75cm~2mの落葉性草本。葉は披針形で、長さ14~40cm。穂状の花序は長さ3.5~10.5cm、幅1.75~5.5cmで、卵型、倒卵形体、球形、円柱形、紡錘形など様々。苞は若いときは緑色で、だんだん淡い色になり、最後は赤色。苞の間から出る花冠は白色もしくは濃い黄色。果実は赤色で倒卵形体、長さ12mm、幅8mm。
原産地はインドとされるが、詳しくは不明。古くから東南アジアで栽培され、人の手によって太平洋の島々に広がった。ハワイには古代ポリネシア人によって持ち込まれた。現在ではカウアイ島、オアフ島、モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島の陰が多い湿潤な場所に生育している。ハワイ語のアヴァプヒ(ʻawapuhi)はショウガ類の総称だが、一般的には本種のことを指す。
花序は、泡立った水分を含み、ハワイ人はこれをシャンプーとして使用していた。そのため、英語ではシャンプージンジャー(shampoo ginger)と呼ばれる。また、根茎を粉にしたものをカパ布の香り付けに使ったり、葉を肉料理の味付けに使ったりもした。
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