ハイイロチュウヒ

Northern Harrier (Circus hudsonius)

ハイイロチュウヒ(Circus hudsonius)
ハイイロチュウヒ | 写真:Pixabay

北アメリカに生息するチュウヒ。ハワイには稀に飛来する。

日本語名 ハイイロチュウヒ(灰色沢鵟)
ハワイ語名
英語名 Northern Harrier、Marsh Harrier
学名 Circus hudsonius(旧:C. cyaneus
分類 タカ科(Accipitridae)
その他 渡り鳥(visitor)

分布

V

北アメリカに広く分布する。稀に南アメリカでも見られる。ハワイではカウアイ島、オアフ島、モロカイ島、マウイ島、ハワイ島で目撃されている。

北西ハワイ諸島のクレ環礁、ミッドウェー島、レイサン島、フレンチ・フリゲート瀬にも飛来した記録がある。太平洋では、他にもメキシコ沖のソコロ島や、ジョンストン環礁などに飛来したことがある。

形態

全長58cm。翼、尾、足が長めの中型のタカ。オスは体が明るい灰色で、胸と腹は白色。メスと未成鳥は上面が褐色で、下面は淡い褐色で濃い縦斑がある。飛翔時の両翼はV字形。

餌を探して飛んでいる姿は、プエオ(コミミズク)にそっくりである。腰がくっきりと白いので、プエオやイオ(ハワイノスリ)と見分けることができる。

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生態

海を越えて渡ることができるので、ハワイに飛来するのも合点がいく。草原や沼地を低く飛びながら、餌となるネズミなどの小動物を探す。ハワイの主要な島々への飛来の時期は、ほとんどが秋から冬にかけてである。

ユーラシアの種と北アメリカの種

かつてはユーラシアに生息する個体群と同種とされ、学名は両者ともCircus cyaneusであったが、今日では北アメリカの個体群は別種(C. hudsonius)とされることが多いようである。ユーラシアの種(C. cyaneus)は「Hen Harrier」と呼ばれ、北アメリカの種(C. hudsonius)は「Northern Harrier」と呼ばれる。Henはめんどりのことで、本種が放し飼いの家禽を捕食することからついた名前だという。

名前について

英語名のハリアー(Harrier)は、チュウヒ類(Circus)の総称。トヨタ自動車のクロスオーバーSUVや、英国ホーカー・シドレー社の垂直離着陸機などの名前にもなっている。また、セガが1985年に発売した人気ゲーム「スペースハリアー」とその主人公「ハリアー」も、チュウヒのことと思われる。

属名Circusは、「回る」という意味の古代ギリシア語に由来するという。チュウヒ類が上空を円を描くように飛ぶ様子からついた名前であるらしい。

チュウヒは、漢字で沢鵟と書く。『現代漢語例解辞典』(小学館)によると、「鵟」という字は、ヨタカ(夜鷹)を指す形声文字だが、日本ではノスリのことを指す。沢鵟とは、「沢に棲むノスリ」という意味だろうか。

ハワイ固有のチュウヒ

半化石から大昔のオアフ島とモロカイ島の森に生息していたことがわかっているHawaiian Harrier(Circus dossenus)という小型の猛禽は、本種(C. hudsonius)の先祖から進化したものである可能性があるという。森の小型の野鳥や虫を獲ることに適応し、翼が短くなっているのが特徴。英語では「Wood Harrier(森のチュウヒ)」とも呼ばれている。

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