ʻAlae keʻokeʻo (Fulica alai)
クイナ類としてはずんぐりと太った濃い灰色の体に、白い額とくちばしが印象的な水鳥。生息数は少なく、絶滅の危機に瀕している。1982年1月の調査による個体数は、わずが700羽だったという。ハワイの伝説に度々登場する。
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日本語名 | ハワイオオバン |
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ハワイ語名 | ʻAlae keʻokeʻo、ʻAlae kea |
英語名 | Hawaiian Coot |
学名 | Fulica alai |
分類 | クイナ科(Rallidae) |
その他 | ハワイ固有種(endemic) 絶滅危惧種(endangered) |
分布
E
ハワイ固有種。主要6島すべてに生息するが、特にカウアイ島、オアフ島、マウイ島に多い。カワイエレ・サンド・マイン野鳥保護区(Kawaiʻele Sand Mine Bird Sanctuary、カウアイ島)や、カハナ・ポンド(Kahana Pond、マウイ島)などで見ることができる。
形態
全長39cm。オスとメスは同じ色。カモ類に似ているが、足は水かきを持たない。その代わり、長い趾(あしゆび)の左右がひれのように広がっていて、水面を上手に泳ぐことができる。体は全体が濃い灰色。額板とくちばしは白色だが、全個体のうち約15%は額板が茶色【写真1】。額板が茶色い個体は、くちばしの先にも茶色い模様がある。くちばしの先は尖っている。尾の下の白い羽は、特に求婚期に、水中でとても目立つ。虹彩は赤色。未成鳥は喉と胸が白い。ひなは黒色で、頭部は赤みを帯びたオレンジ色。
アメリカオオバン
本種は、長い間、アメリカオオバン(Fulica americana)の亜種に分類されていた。アメリカオオバンは、アラエ・ケオケオよりも体が大きく、体の色がやや淡く、くちばしが太く、ぷくりとふくれた白い(個体によっては茶色い)額板が小さい。非常に稀だが、アメリカオオバンは今でもハワイ諸島に飛来することがある。
鳴き声
「ケッ、ケッ、ケッ、ケッ」と鳴く。アラエ・ウラの鳴き声に似ているが、本種のほうが音がソフトで音程が低い。
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生態
北アメリカ北部のアメリカオオバンは冬に南へ渡るが、本種は留鳥として年中にハワイにいるようである。池や湿地に生息し、やや開けた水域を好む。気水域や海水の池でもみられる。ゴルフコースの人口池にいることもあるので、もしかしたら、もっとも多くの観光客が出会うハワイ固有の鳥は本種かもしれない。
飛ぶことは滅多にないが、飛べないわけではない。カウアイ島のアラエ・ケオケオは、隣のニイハウ島まで渡ることが知られており、もしニイハウ島に十分な水があれば営巣もする。
主に植物を食べる。水生植物を使って、水面に大きな浮き巣を作り、4〜10個の卵を産む。ひなはすぐに歩いたり泳いだりできるようになる。
名前の由来
アラエ(ʻalae)は鷭(バン)、ケオケオ(keʻokeʻo)は白という意味。つまり、アラエ・ケオケオで「白い鷭」となる。本種の額とくちばしが白いことに由来する。ハワイの住民の一部は「ʻalae bird」とも呼ぶ。
アラエ・ケア(ʻAlae kea)とも呼ばれる。ケア(kea)も白という意味。ちなみに、ハワイ最高峰のマウナ・ケア(Mauna Kea、ハワイ島)は、「白い山」という意味である。山頂に雪が積もっていることが多いことに由来する。
ハワイには、アラエ・ウラと呼ばれるバンもいる。アラエ・ケオケオに似ているが、くちばしから額にかけて鮮やかな赤色である。ウラ(ʻula)は赤という意味で、アラエ・ウラは「赤い鷭」という意味になる。ハワイ固有の赤いハイビスカスがコキオ・ウラ、白いハイビスカスがコキオ・ケオケオと呼ばれるのと同じ命名方法である。
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