Kauaʻi ʻElepaio (Chasiempis sclateri)
カウアイ島に生息するエレパイオ。カウアイ・エレパイオのみは、アーペケペケ(ʻĀpekepeke)という別名がある。
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日本語名 | ハワイヒタキ(エレパイオの総称) |
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ハワイ語名 | Kauaʻi ʻElepaio、ʻĀpekepeke |
英語名 | — |
学名 | Chasiempis sclateri |
分類 | カササギヒタキ科(Monarchidae) |
その他 | カウアイ島固有種(endemic) |
分布
E
カウアイ島固有種。コーケエ州立公園(Kōkeʻe State Park)やアラカイ湿原(Alakaʻi Swamp)に多く生息する。ハナコア・バレー(Hanakoa Valley)の標高140mあたりでもみられ、ジャワプラム、ククイ、コーヒーノキなどの外来植物の森で生活している。
1960年代までは、標高150m以上の場所に多く生息していて、カウアイ島の陸鳥としてはもっとも多く見られる鳥のひとつだったという。しかし、農地開拓と都市化によって森が切り開かれてからは、標高が低い場所での生息数は激減した。
形態
全長14cm。他の島のエレパイオよりも地味な印象がある。頭、背中、翼は濃い灰色。下面は白っぽい色。胸部はうっすらとオレンジ色がかっていて、薄い縞模様がある。喉は白い。2本の白い翼帯がある。口ひげのような黒い羽が口の周りにある。短くてまっすぐのくちばしは濃い灰色。足も濃い灰色。尾は黒色がかった茶色で、先端は白い。腰は白色。オスとメスはほぼ同じ色だが、メスの額と喉はさらに白っぽい。
未成鳥は上面が褐色、下面が淡い色で、淡黄色の翼帯がある。未成鳥には、成鳥のような腰の白色がない【写真1】。
鳴き声
オアフ・エレパイオやハワイ・エレパイオとほぼ共通している。鳴き声については、エレパイオ(まとめ)に詳しく書いた。
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生態
森の中で木々を動き回り、餌となる虫を探す。地面に降りてくることも少なくない。繁殖期は3月~6月。木の枝上に巣を作り、2個の卵を産む。巣はオーラパやホーアヴァなどの木にも作るが、オーヒア・レフアが最も多い。卵は18日で孵化する。
寂しい森に生きるカウアイ・エレパイオ
以前たくさんの野鳥を見ることができたコーケエ州立公園では、2000年代以降、在来種の野鳥の姿はなかなか見られなくなった。イイヴィ(ベニハワイミツスイ)は2005年頃から激減したし、普通に見られる鳥だったアマキヒ、アニアニアウ、アパパネ(アカハワイミツスイ)などにも、現今は出会う機会が少ない。アキキキ(カウアイ・クリーパー)、アケケエ(カウアイ・アーケパ)、プアイオヒなどにいたっては、もう公園内には1羽もいないのではないか。筆者の経験では、2012年12月にアラカイ・スワンプ・トレイルでアケケエを一瞬見たのが最後である。
カウアイ島の森から鳥たちが姿を消した主な原因は、鳥ポックスや鳥マラリアなどの、蚊を媒体とする病気であるらしい。温暖化の影響で、これまで蚊がいなかった標高が高い山奥にも蚊が生息するようになったからだという。
そんなコーケエ州立公園の在来野鳥で、エレパイオだけは、病気への免疫をつけているのか、今でも多く生息している。公園内にたくさんあるトレイルを歩いても、イイヴィにもアニアニアウにもめったに会えなくてほんとうに悲しくなるが、エレパイオの元気な姿に出会うたびに、少しは救われた気持ちになる。
カウアイ島が、昔のように野鳥の鳴き声で満ち満ちた、ほんとうの“ガーデンアイランド”に戻る日が来るのを、願うばかりである。
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