Koaʻe kea (Phaethon lepturus dorotheae)
白くて長い尾羽が特徴の海鳥。ネッタイチョウ科は、本種の他に、尾羽が赤いコアエ・ウラ(アカオネッタイチョウ)と、尾羽は白いがくちばしが赤いアカハシネッタイチョウの1属3種からなる。ハワイでは3種全てが生息するが、アカハシネッタイチョウは数が少ない。
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日本語名 | シラオネッタイチョウ(白尾熱帯鳥) |
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ハワイ語名 | Koaʻe kea |
英語名 | White-tailed Tropicbird |
学名 | Phaethon lepturus dorotheae |
分類 | ネッタイチョウ科(Phaethontidae) |
その他 | ハワイ在来種(indigenous) |
分布
I
熱帯から亜熱帯の、大洋上にある島々で繁殖する。ハワイでは主要6島すべてに分布する。ウィンドワード(windward、貿易風の風上側)の海岸に多い。また、ワイメア渓谷(Waimea Canyon、カウアイ島)、ハレアカラー山頂(Haleakalā、マウイ島)、キーラウエア・カルデラ(Kīlauea Caldera、ハワイ島)など、とても海鳥の生息地とは思えない内陸部でも、上空を飛んでいる本種を見ることができる。日本にも迷鳥としてまれに飛来する。
形態
全長76cm。コアエ・ウラよりも小型で、細身である。体は白色で、中央尾羽が2枚が長く、コアエ・ウラの赤い中央尾羽と比べると遠くからでも確認しやすい。中央尾羽は、くっついて1枚のように見えることが多い。目の周囲、上面の翼の先、背中に黒い班があり、目立つ。くちばしは黄色。足には水かきがあるため、陸上では動作がぎこちないが、飛ぶ姿はたいへん優雅で美しい。アカハシネッタイチョウに似ていて、飛んでいるときに肉眼では判別しにくいが、アカハシネッタイチョウは、その名の通りくちばしが赤い。インド洋のクリスマス島で繁殖する個体群は、体全体が黄色である。ハワイでも、体の色がやや黄色がかっている個体がまれに見られる。未成長は尾羽が短く、背中に斑紋がある。
鳴き声
きしむようなざらざらとした声で「ガッ、ガッ、ガッ、ガッ」と鳴く。
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生態
主に海上で生活する。空中から海に飛び込んで、餌となる魚やイカを捕まえる。滑空もするが羽ばたいて飛ぶことが多い。海に浮くときには尾羽を海面上にあげる。繁殖期は3月~10月。一個の卵を産む。両親が反芻によってヒナに餌を与える。ヒナは生後40日ほどで羽が生えそろうが、飛べるようになるには60日以上かかる。
ハワイの個体群は主に岸壁や渓谷の断崖の割れ目や穴に営巣するが、その他の地域では木に営巣するという。キーラウエア・カルデラでは、火山ガスがあるにもかかわらず岩棚に営巣する。そのため、地元では「クレーターバード(crater bird)」と呼ばれる。
ハワイの海鳥の多くは、ネズミ、ネコ、マングースなどの陸生哺乳類に巣を襲われてしまうが、断崖絶壁にある本種の巣には、これらの天敵はなかなか近づけないようである【写真1】。ただし、これらの岸壁や崖には人間も近づくのが困難なため、ハワイにおける本種の繁殖生態については未知の部分が多いという。
利用
本種やコアエ・ウラの羽は、昔のハワイ人の羽細工に使われた。
名前について
英語では、一般的にはWhite-tailed Tropicbird(直訳すると白い尾のネッタイチョウ、つまりシラオネッタイチョウ)と呼ばれるが、同じく白い尾をもつRed-billed Tropicbird(直訳すると赤いくちばしのネッタイチョウ、つまりアカハシネッタイチョウ)と区別するためか、Yellow-billed Tropicbird(直訳:黄色いくちばしのネッタイチョウ)と呼ばれることもある。
ハワイ語のコアエ(Koaʻe)は、ネッタイチョウの総称。ケア(kea)は白色という意味。尾羽が赤いアカオネッタイチョウは、コアエ・ウラ(Koaʻe ʻula)と呼んで区別する。ウラ(ʻula)は赤色という意味。
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