ʻEwaʻewa (Onychoprion fuscatus)
世界中の熱帯の海でもっとも一般的に見られる鳥のひとつ。熱帯の漁師たちにとっては、魚が群れている場所を見つけるための重要な海鳥のひとつである。
スポンサーリンク
日本語名 | セグロアジサシ(背黒鯵刺) |
---|---|
ハワイ語名 | ʻEwaʻewa |
英語名 | Sooty Tern |
学名 | Onychoprion fuscatus |
分類 | カモメ科(Laridae) |
その他 | ハワイ在来種(indigenous) |
分布
I
世界中の熱帯の海に広く分布する。ハワイでは、北西ハワイ諸島と、オアフ島沖のモクマヌ島(Mokumanu Islet)やマーナナ島(Mānana Islet、別名:ラビットアイランド)に多数生息する。ハワイの主要6島すべての上空や沖で見られるが、特にカウアイ島とオアフ島に多い。
マーナナ島は、ハイキングで人気があるマカプウ岬(Makapuʻu Point)近くにある展望所からよく見える。展望所から肉眼で本種をはっきりと確認することはできないが、フィールドスコープがあればマーナナ島上空を飛んでいる姿を簡単に見つけることができる。天敵となる陸生肉食哺乳類がいないマーナナ島は、本種を含めた数千羽の海鳥たちの重要な繁殖地となっている。
形態
全長43cm。上面は濃い茶色だが、遠くからはほぼ真っ黒に見える。下面は白色。翼は長く先が鋭い。尾は長い燕尾で、外側が白い。額は白色で、くちばしから目に黒くて太い線がある。黒いくちばしは短剣のようにまっすぐ。足は黒色。未成鳥は茶色がかった灰色で、上面に白い斑点がある。雛は羽毛で覆われていて、黒色、茶色、白色からなる多様な模様がある。
スポンサーリンク
生態
力強く羽ばたいて早いスピードで飛ぶことができる【写真1】。飛翔時の優雅な姿は、小さなイヴァ(オオグンカンドリ)を彷彿させる。海面上をホバリングして、海中に飛び込み、餌となる魚やイカを捕まえる。
場所によっては100万羽以上の巨大な集団営巣地(コロニー)を作ることで知られる。ハワイでは2月~9月までコロニーで過ごし、それ以外の時期は外洋に出る。砂が多い平ら場所に営巣するのを好むが、岩場のスロープや岩棚にも簡単に巣を作る。最長で28歳まで生きた個体の記録があるという。
1個の卵を産む。卵は白色またはクリーム色で、茶色い繊細なものから濃い黄褐色の大きな斑点まで、バラエティに富んだ模様がある。抱卵期間は26〜29日。抱卵は2羽が交代で行う。抱卵の交代は夜間に行われることが多く、一方で孵化するのは昼間が多い。
雛が卵の殻から出るまでは最長4日かかる。親鳥は、自分たちの雛以外の雛が巣に近づくと、それをくちばしでつついて追い払う。
名前について
ハワイ語名のエヴァエヴァ(ʻewaʻewa)には「不規則な」、「偏した」、「不平等な」などの意味があるが、命名の由来はわからない。
英語名のSooty Ternは、「すすだらけのアジサシ」という意味。黒い背中や頭がすす(煤)を被っているように見えることからつけられた名前であろう。
特に霧や雨の夜に、飛びながら絶え間なく鳴き続けることがある。そのため、Wide-awake Tern(すっかり目覚めたアジサシ)と呼ばれることもある。
作成日: