Red-vented Bulbul (Pycnonotus cafer)
真っ黒な中型の鳴禽。インドハッカや、カワラバト、チョウショウバトなどのハト類ともに、オアフ島の都市部でもっとも多く見られる鳥のひとつ。同じヒヨドリ科でオアフ島に定着しているコウラウンよりも生息数が多い。ホノルル空港の中庭などで目にする機会も多く、観光客にとって、ハワイで最初に目にする鳥が本種であることも多いだろう。
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日本語名 | シリアカヒヨドリ(尻赤鵯) |
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ハワイ語名 | — |
英語名 | Red-vented Bulbul |
学名 | Pycnonotus cafer |
分類 | ヒヨドリ科(Pycnonotidae) |
その他 | 外来種(alien) |
分布
A
アジアの熱帯地域原産。インド、スリランカ、パキスタン、ヒマラヤ西部、ミャンマー、中国雲南省などに分布する。ハワイではオアフ島の都市部だけでなく、農地や山間の森にも多く生息する【写真1】。
外来種としてはオーストラリア、ニュージーランド、フィジー、サモア、トンガ、マーシャル諸島などで定着している。ハワイで本種が定着しているのはオアフ島のみだが、カウアイ島、カホオラヴェ島、モロカイ島、ハワイ島などで目撃されることが稀にある。
形態
全長22cm。コウラウンよりやや大きい。オスとメスは同じ色。上面、下面ともに黒色。腹部はやや明るい。頭部に短い冠羽がある。下尾筒は赤色で、日本語名シリアカヒヨドリや英語名Red-vented Bulbul(下腹が赤いヒヨドリ)の由来になっている。尾羽の先と腰は白い。
本種やコウラウンには冠羽があるため、ハワイでは、同じように冠羽があるショウジョウコウカンチョウ(ショウジョウコウカンチョウ科)やコウカンチョウ(ホオジロ科)の仲間だと誤って思われがちである。
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生態
雑食性で、果実、花蜜、虫、トカゲなどを食べる。町中の電線、フェンス、家屋、木の枝などにとまるほか、地面にもよく降りる。生息数が多い場所では50羽以上の大きな群れを作ることがある。繁殖は一年中行う。大きな木に営巣し、2~4個の卵を産む。
ハワイへの移入
本種がハワイに移入された経緯ははっきりとはわかっていないが、どうやら1960年代中頃に、オアフ島で違法的に放鳥されたことがあったらしい。以降、オアフ島で定着している。1970年代中頃から後半までには、カーネオヘ(Kāneʻohe)からパールハーバーに至る、オアフ島南東部の標高が低いあらゆる場所で見られるようになり、さらに1982年までには、島全域の低地に生息域が広がったという。
侵略的外来種
本種は、国際自然保護連合(IUCN)の種の保全委員会によって『世界の侵略的外来種ワースト100』のひとつに選定されている。
オアフ島では農作物——とくにグアバやパパイアなどの柔らかい果物——に被害を与える害鳥とされている。また、ラン(オーキッド)のつぼみを好んで食べることでも知られ、ランの栽培者たちの間でも困った存在であるらしい。
ハワイの在来植物の森への悪影響も危惧されており、オアフ島以外の島での目撃情報は、速やかにハワイ州の国土天然資源課(Department of Land and Natural Resources)に報告されるべきである。
幸い、自力で海を渡ることはないようなので、人為的な移入さえ阻止すればオアフ島以外の島々で定着する心配はなさそうである。
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