コウカンチョウ

Red-crested Cardinal (Paroaria coronata)

コウカンチョウ(Paroaria coronata) コウカンチョウ(Paroaria coronata)

赤い頭と直立した冠羽がトレードマークの、美しい鳴禽。

日本語名 コウカンチョウ(紅冠鳥)
ハワイ語名
英語名 Red-crested Cardinal、Brazilian Cardinal
学名 Paroaria coronata
分類 ホオジロ科(Emberizidae)
その他 外来種(alien)

分布

A

ブラジリアン・カージナルという英語名が示す通り、南アメリカ大陸原産。ブラジル南西部、ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチン北部、ボリビア東部などに生息する。

1928年にウィリアム・マクナーニ(William Mclnerny)という人物によってオアフ島で放されたのが、ハワイへの最初の移入とされる。その後3年間のうちにさらに放され、現在ではオアフ島の広い範囲に多数生息する。現在ではカウアイ島、モロカイ島、ラーナイ島でも定着しているが。近年はマウイ島のラハイナ(Lahaina)などの一部の地域でも見られるようになり、数を増やしつつある。

標高が低い都市の町中、公園、ゴルフ場、広場、雨が少ない開けた森などで普通にみられる。しばしば標高が高い山中でもみられ、カウアイ島のコーケエ州立公園(Kōkeʻe State Park)などを訪れることもある。ただし、山奥の在来植物の森にはめったに入っていかないようである。

形態

全長19cm。ショウジョウコウカンチョウはオスとメスの体の色が全く異なるが、本種のオスとメスはほぼ同色。上面は青みを帯びた灰色で、下面は真っ白。頭から胸にかけては鮮やかな赤色。くちばしは灰色で太い。足は黒色。未成鳥は頭部が茶色で、冠羽が短く、くちばしが黒い【写真1】。

コウカンチョウ(未成鳥)
【写真1】未成鳥は頭が茶色い

鳴き声

大きな澄んだ声で、音程が下がる「ピュー」と上がる「ピュイー」を交互に繰り返すようにさえずる。ショウジョウコウカンチョウのさえずりよりもメロディアスで声質が柔らかい。

生態

ペアもしくは家族単位で行動することが多く、種子、虫、果実などを食べる。民家の庭や木の餌台にもたくさん集まる。地面にいる姿がよく見られるが、同じくらいの割合で木の枝に止まっている姿も見られる。都市部ではかなり人に慣れていて、直近まで近づいても逃げない個体もいる。

繁殖期は12月半ば~9月。繁殖期には、朝最初に鳴き始める鳥のひとつで、夜明けよりもずっと前の真っ暗な時間から鳴き始める。モンキーポッドシャワーツリーマンゴー、ペーパーバーク、ピンクテコマなどの高木の、地上7.5m以上の場所に巣を作り、2、3個、まれに4個の卵を産む。卵は緑色がかった白色で、濃い茶色の斑点がある。繁殖期が終わると、最大50羽くらいの大きな群れを作ることがある。

ハワイの鳥といえば「頭が赤い鳥」

コウカンチョウ
【写真2】水を飲むコウカンチョウ(カピオラニ公園)

一度見たら忘れられない印象的な姿で、ワイキキやアラモアナを含めた観光地にも住宅地にもたくさんいるため、観光客からも地元の住人からも「頭が赤い鳥」としてハワイで最も認知されている鳥のひとつである。

筆者がハワイで人と知り合って、会話の中で筆者がハワイの野鳥に興味があるという話になると、ほとんどの人が本種のことをまず話題にする。多くの人にとって、本種が代表的な「ハワイの鳥」であることがわかる。

キバシコウカンチョウ

本種の近縁種に、キバシコウカンチョウ(Paroaria capitata)がいる。コウカンチョウと同じく南アメリカから移入された。ハワイで最初に確認されたのは1973年。現在はハワイ島のコナ(Kona)付近やサウス・ポイント(South Point)に多く生息し、ハワイ島の海岸近くで徐々に生息域を広げている。コウカンチョウによく似ているが、冠羽がなく、くちばしは黄色い。さえずりはコウカンチョウのさえずりに似ているが、声がやや柔らかい。

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