イヴァ(オオグンカンドリ)

ʻIwa (Fregata minor palmerstoni)

イヴァ(オオグンカンドリ、Fregata minor palmerstoni) イヴァ(オオグンカンドリ、Fregata minor palmerstoni) イヴァ(オオグンカンドリ、Fregata minor palmerstoni)

大型の海鳥。グンカンドリ科は、グンカンドリ属5種からなり、ハワイの主要な島々では本種のみが見られる。北西ハワイ諸島には、コグンカンドリ(Fregata ariel)がまれに飛来することがある。

日本語名 オオグンカンドリ(大軍艦鳥)
ハワイ語名 ʻIwa
英語名 Great Frigatebird
学名 Fregata minor palmerstoni
分類 グンカンドリ科(Fregatidae)
その他 ハワイ在来種(indigenous)

分布

I

熱帯の太平洋、インド洋、大西洋の広範囲に分布する。大西洋では数が少ない。ハワイの主要6島での営巣は確認されていないが、多くが飛来する。特にカウアイ島とオアフ島に多い。オアフ島ではカーネオヘ(Kāneʻohe)沖のモクマヌ(Mokumanu Islet)という小島に多くやってくるほか、上空を飛んでいる姿が、ワイキキなどの都市部を含めて島のいたるところで見られる。北西ハワイ諸島では営巣する。

形態

全長73cm、翼開長229cm。雌より雄の方が小さい。黒い体、翼竜を彷彿させる「く」の字に曲がった大きな翼、ツバメの尾のように二股に切れ込んだ長い尾などが特徴。ハワイでは他に似た鳥はいないので、上空を飛んでいる本種を地上からでも簡単に識別できる。肩の部分はメタリックな光沢がある緑色。くちばしは先がかぎ型にカーブしている。雌は喉から胸にかけて白い。ハワイの主要6島に飛来する本種の多くが雌である。雄は喉の赤い皮膚があらわれていて、婚姻期には、その部分を風船のようにぷっくりと膨らませて雌にアピールする。未成鳥は黒褐色で、頭と喉と腹が白い。

生態

イヴァ(オオグンカンドリ)
【写真1】飛翔するイヴァ

大きな翼で上昇気流を拾い、数時間にわたって滑空することができる【写真1】。他のどの海鳥よりも高く飛ぶことができ、上空150mまで軽々と達することができる。行動範囲は広く、ハワイで印をつけた個体がフィリピンで確認されたこともあるという。その強靭な飛翔能力とは裏腹に、陸上では立ったり歩いたりできない。天敵がいない、陸から離れた洋上の島で営巣する。木の枝からなる巣を灌木に作る。繁殖期は3月~5月で、一つの卵を産み、雛は10月に巣立ちする。

洋上にすむが、水を飲むために湖沼などに飛来することもある。筆者がある日、カウアイ島の池でアエオなどの水鳥を観察していたところ、突然10羽以上のオオグンカンドリの群れが現れ、次々にくちばしを水面につけて水を飲み、やがて1分も経たないうちに飛び去っていった。筆者はそれまでオオグンカンドリは海にしかいないものだと思っていたので、この光景には驚いた。【写真2】

イヴァ(オオグンカンドリ)
【写真2】水を飲みに淡水の池にやってきたイヴァ

労働寄生

自力でイカやトビウオを捕まえることもできるが、労働寄生(kleptoparasitism)と呼ばれる、他種の食糧を奪って食べることで知られる。すなわちカツオドリ(アー)、アジサシ、ネッタイチョウ(コアエ)、ミズナギドリなどを攻撃して、彼らが捕まえた魚やイカを吐き出させ、落ちた獲物を空中でキャッチして横取りする。

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名前の由来

本種の横取り行為は、ハワイ人にも印象的に映ったようで、本種のハワイ語名イヴァ(ʻIwa)は、泥棒という意味である。

また、グンカンドリという名前の由来は、本種が熱帯の海に出没していた海賊の高速フリゲート艦を彷彿させるため、昔の船乗りたちから「man-o’-war birds(軍艦鳥)」と呼ばれていたことに由来するそうだ。

ハレイヴァ:オオグンカンドリの家

オアフ島ノースショアにある、観光客にも人気の町ハレイヴァ(Haleʻiwa)は、「オオグンカンドリの家」という意味である(Hale=家)。決して「泥棒の家」という意味ではないので心配は無用。昔はノースショアにもイヴァが住んでいたのだろうか。

イヴァ(オオグンカンドリ)

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カアラ山に住む女神カイオナの使い

ハワイの伝承によると、オアフ島で一番高い山であるカアラ山(Mount Kaʻala、1,225m)にはカイオナという女神が住んでいるという。カイオナはとても慈悲深い女神で、山中で道に迷った人がいるとイヴァを使いとして送り、助けてくれると云われている。

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